先週の金曜の夜、アカデミーヒルズでの講座「宇宙研究から学びとるビジネス感度」を、私がモデレータを務め開講しました。「異分野から学ぶビジネスエッセンスシリーズ」の第二弾企画。6月に開講した第一弾は、「能から学ぶ」でした。能は私も習っていますので、事前にある程度イメージはつかめましたが、今回は全く門外漢の宇宙研究です。かなり不安でした。
ゲストスピーカーの高梨さんは東大EMPでの授業で慣れておられるので、講演は安心してお任せできましたが、問題は講演後のグループ討議と発表の時間です。講演とほぼ同じくらいの時間を取っています。
このシリーズの企画コンセプトは、異分野で活躍する人の話や経験から学ぶことであり、学びを最大化するために同じ参加者と対話してもらうことに特徴があります。単なる講演会でも学びはありますが、他者と対話することでさらに学びが深まるはず。また、他者がどう学んだか、ということからの学びもあるはずです。
講演後に感想を述べあうという形式でもいいのですが、対話を効果的なものにするために、「問い」を用意します。あくまで対話のきっかけとしての問いなのですが、問いには企画者側の意図を織り込むことができます。講演する高梨さんとアカデミーヒルズの担当者といっしょに知恵を絞りました。
高梨さんは、かつてのように一般の人びとの暮らしに天文学や宇宙を織り込んで欲しいので、そんなことを考えさせるような問いを希望していました。また東大EMPでは、研究者が悩んでいるような課題について受講者がヒントをくれるようなことも時々起るそうで、そんなことにもなればいいなと考えました。
しかし、それをどう問いにできるか。当初は、ストレートに以下の問いを考えました。この問いに合うような講演内容を、高梨さんにしてもらおうというわけです。
①「現代の生活に天文学を織り込むことに意味があるとすれば、それはなぜか?どうすれば織り込むことができるか? 」
②「最先端の宇宙研究者の悩みについて、あなたの立場からどんなアドバイスができるか?」
しかし、何度も考えるうちに、この問いは難しいのではと思うようになりました。講演する高梨さんにとっても、こたえる参加者にとっても。また、この問いを考えることで、「ビジネス感度」につながるかも、疑問です。
悩んだ末、講座前日以下に変更することにしました。
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問1.
・宇宙的視野というものがあるとすれば、それは何だと思いますか?
・宇宙的視野を持つことで、あなたの生活(公私問わず)は、どのように変化する可能性があると思いますか?
・そのために、あなたは何をしますか?
・多くの人々が、宇宙的視野を持てるようにするためには、どうすればいいでしょうか?
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問2:
・大いなる未知を探求する宇宙研究者の思考や感性には、どのような特徴があると思いますか?
・その中で、あなたが取り入れたいと思うことは何ですか?
・それはなぜですか?
・実際に取り入れるために、何をしますか?
これでも、まだ十分難易度が高いと思いましたが・・・。
当日は、5グループ中2グループが問1を、3グループが問2を討議し発表していただきました。思いの外、討議は盛りあがり、質の高い発表と質疑がなされました。
講演内容への満足度が高いことは最初から予測できましたが、その後のグループ討議と発表にどれだけの価値を感じていただけたか・・。
幸い、アンケートには以下のようなコメントがありました。
・ディスカッションした皆さんの意見が良かった
・グループワークがあったおかげで、様々な意見を聞くことができ参考になった
・ディスカッションで意見を出しあえたのが良かった
・いい話し合いができた
・グループワーク、発表と日頃はあまりできない体験もできて良かった
・グループワークの課題がやや難しかったが、ブレインストーミングできて、他の方々の話も聞けて学びになった
・MITAKAを使っての講義、そこから学び取る視点のグループ課題設定が非常に良かった
グループ討議と発表の時間を講演に回して欲しかった、というようなコメントがなく、ほっとしました。レベルの高い参加者に助けられました。
このフォーマットで、テーマを変えながらいろいろ試してみたいと思います。
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