意思決定の最近のブログ記事

重大な局面での判断を、間違えないようにする秘訣はあるのでしょうか。

 

判断を間違う要因を、まず考えてみたいと思います。自分自身の数ある失敗を思い越してみると、情や我欲に引きずられる、狭い視野で考えている、小さな理屈にこだわりすぎた、そんな要因があった気がします。

 

では、どうすれば、正しい判断を妨げる要因を排除できるのでしょうか。ひとつには、「ここ」と「いま」から離れることだと思います。意思決定するのは、今ここで、です。そうすると、判断の材料もどうしても今、ここに偏りがちです。

 

例えば、大きな問題となっている雇用問題。経営者は、今いる社員をどうするのか?リストラしなければ今期営業赤字に陥る、それでいいのか?株主にどう説明すればいいのか?など、「いま」「ここ」での対応に頭を抱えていることでしょう。

 

大企業の経営者くらいになれば、「いま」「ここ」だけでなく、未来や社会への影響も考慮に入れるべきでしょう。ましてや、政治家は。

 

 

「いま」「ここ」からいったん離れて、普遍的な思想なり価値の視点を持って判断すべきなのでしょう。そのためには、一人孤独に思考する場所が必要かもしれません。さらに、時間的空間も超えるべきです。たとえば、歴史や古典に遊ぶことでしょうか。

 

 

時間に追われ、どこに行っても、携帯電話やメールでがんじがらめになってしまいがちな私たち。強い意志を持って実行しなければならないでしょうが、その対価は大きいように思います。

 

不動清水の木.jpg

 

845_shop1.jpg経営はすべてトレードオフです。

Aを選ぶとBがだめになる。Bを選ぶとAがだめになる。

 

熊本に味千ラーメンというチェーンがあります。以前、何度か食べたことがありますが、積極的に海外展開も図っていると最近知りました。

 

その会社の上海にあるスープ工場が不良品を出したそうです。袋詰めのスープが分離してしまった。納期は刻一刻と迫る。「袋から開けて加熱すれば商品にできる」と、現地のコンサルタントが言うのを押しのけ、社長は全品廃棄を指示し、大きな損失が出る道を選んだ。

 

短期の視点では、加熱すべきでしょう。味に大きな変化がなければ、損失を回避することが経営者の務めです。しかし、長期の視点では、廃棄すべきとの判断もあります。それまで品質第一でやってきたのに、ここでごまかして妥協すれば、それを見て、真面目に汗水たらして工場で働く現地従業員のモチベーションが下がり、いずれブランドの劣化を招く。この社長は、長期の視点で判断したのです。これが高価なブランドものならともかく、ラーメンです。でも、社長は廃棄した。これは、合理的判断なのでしょうか。

 

経営のトレードオフにおける判断は、どの期間で評価するのかと、何と比較して評価するのかによって決められるのではないかと思います。ここでは、期間の問題でした。長期を選ぶことには勇気がいります。何しろ、目先のことはわかっても、将来はどうなるか分からないのですから。そうです、不確実性が高いのです。そして、責任ある人間は、少しでもリスクを回避したいものです。確実な短期を、不確実な長期より選びたいものです。もちろん、それが正しいこともあるでしょう。でも、そうじゃないことも当然あります。その時に、リスク回避の誘惑に負けないで意思決定できるかどうか。

 

管理された楽観主義と勇気と信念、これらを持つ経営者が、不確実性の高い経営環境に立ち向かっていけるような気がします。

 

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