本当の教育

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たまたま、東北大学 川島隆太 加齢医学研究所所長による、こんな文章を見つけました。http://www2.he.tohoku.ac.jp/center/syokou/pdf/syoko41.pdf

どれも、心に刺さります。

 

 

●戦後の教育システムは、物言わぬ羊をつくることを目的とした

十数年前、名は伏すが、偶然、一人の旧帝国大学名誉教授と懇談する機会を得た。その方は、戦後、GHQと共に日本の新しい教育システムを構築することに携わってきたと言っていた。そして、「私たちが目指した我が国の教育の目標は、90%の国民が物言わぬ羊となることである。それが治安の観点からは安定性に優れ、経済の観点からは最も効率の良い社会を作ることに繋がる。見たまえ、私たちの壮大な社会実験は見事に成功を収めた。」と、我が耳を疑う言葉を吐いた。これらが妄言か戯言か、今では確かめるすべはない。

 

●グローバル化とは、自分の居場所を全ての場所につくることができること

グローバル化とは、外国語という道具を持つことではなく、己が何者であるかを熟知し、それを他者に表現する言葉を持つことである。正確に己を知ることによってのみ、外国人を含む全ての他者を理解することが可能となり、己の姿を表現し他者に伝えることによってのみ、自分の居場所を全ての場所に作ることができる。

 

己の姿を表す主体的な座標は誰もが知覚している。しかし、それだけでは己を正確に知ることになはならない。異なった座標を持つ他者の集合体である社会が形成する統合的な座標の中で、己の相対的な位置を知覚することが、己の真の姿を知ることに他ならない。均質な集団によって形成される小さな閉ざされた社会しか知らなければ、その小さな空間の中にしか己を表現できない。

 

 

●おっちょこちょいの、新しものずき

新しい技術が開発されると、その効果も見極めぬまま、我先に導入したがる性癖が特に強い日本人は、インタネットを駆使した教育システムの導入を、初等教育から高等教育の現場まで推し進めようとしている。しかし、我々の脳機能計測実験は、インタネット空間での知的活動と、実空間での同等の知的活動では、結果観察されるヒトの脳活動は等価ではないことを示している。コミュニケーション活動に関しても同様である。一昨年報道された韓国での特区を利用した初等・中等教育のIT化の失敗は、我々の脳計測実験結果からは当然のことに思える。

インタネット空間を利用した教育では、運よく知識を得られたとしても、教員の魂を食らい、己の魂を成長させることはできない。

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このページは、ブログ管理者が2018年2月27日 16:11に書いたブログ記事です。

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