社会: 2010年8月アーカイブ

サラリーマンNEOというNHKの番組が好きです。サラリーマンの生態を風刺を利かせて面白く、時に悲しく描くコメディー(古い表現?)です。

 

一昨日の午後、ジムのランニングマシンで走りながら、設置された小型TVでたまたまNHK-BSニュースを観ていたときです。信じられない光景が飛び込んできました。

 

カメラは京都府庁の職場に入っていきます。一見、普通の机が島型にならんだにぎやかな職場の風景なのですが、なんか違います。カメラが近づいていくと、なんと!職員が座っている机の向かい側や、斜めヨコに住民にみたてたマネキン人形が座っているのです。ちゃんと、それらしい服も着 K10034824811_1008210611_1008210618_01.jpgています。

 

そこで、インタビュアーが解説します。

 

「京都府庁では、職員の生産性を向上させるために、職員ごとに住民の人形を設置することになりました。常に、住民が目の前にいるような緊張感を持って仕事をしてもらうことで、生産性をあげようという取組みなのです。人形には、全て名前がついています。」

 

ここで、カメラは若い男性の人形によります。

「この人形は、現在就職活動中の24歳の大学院生。名前は福雅治さんです。向かいに座っている方に聞いてみましょう。」

 

労働政策担当の中年男性が、まじめに答えます。

「はい。ひしひしと視線を感じます。人形にいつも見られていることで、効率性が上がっているような気がします。」

 

その後、子育て中の主婦(人形)人見知子さん(32歳)も、担当職員とともに紹介されました。好評につき、人形を増やすことを検討中とのことです。

 

 

一瞬、これはサラリーマンNEOかと疑ってしまいました。でも、もしそうなら雰囲気が違います。あくまで、まじめな公務員の職場の取材風景なのです。こうなると、なにがギャグでなにが現実かわからなくなってしまいます。ついに、ここまで来たのかと、感慨深く見入ってしましました。しかし、NHKはしごくまじめに取材し、ニュースで取り上げています。

 

うそだと思う方は、以下見てください。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100821/k10013482481000.html

 

 

 

 

私の感覚がずれてしまったのか・・・・。常識は、常に変化するものです。大多数の人がそう思えば、それが常識です。香川沖のヘリコプター墜落事件における、司法修正生向けのデモ飛行を隠蔽した問題も、官庁の世界では常識的判断だったのでしょう。

 

大多数の人の意見と異なる小数意見は、この国では排除すべき意見になってしまいます。府庁の人形施策に疑問をもってしまう私は、排除されるべき人間になっているのでしょうか?怖い話です。

 

ある友人(女性)が嘆いていました。

 

彼女は、某大企業からその子会社(女性が多い職場)へ役員として出向していました。当初はテキパキと自分で判断して決めてきたのですが、ある時部下の意見をできるだけ聞いてから決めるようにと変えたそうです。でも、いくら尋ねてみても、自分の意見をなかなか言わない部下(40代男性)に非常に手を焼いたとのこと。そこで意を決して、その部下になぜはっきり意見を言わないかを直接問いただしたそうです。すると、

 

「僕は、聞かれるたびに●●さんが期待する答えを一生懸命考えてみるのですけど、なかなかわからないんです。そうこうしているうちに、●●さんがいらいらしてくるのが分かるし、余計わからなくなってしまって、・・・。本当にすみません」

 

 

と答えたそうです。彼女は愕然としました。彼自身の意見を尋ねていたのに、彼は彼女の期待する答えをしようと、必死だったのです。

 

彼女は私に言いました。

「男って、組織の中では周囲の意見や空気に、いかに合わせるかばかりを考えているのね」

 

私は否定しました。それは男性だからではなく、その人個人の問題じゃないですか?不適切な一般化はやめてください、と。寅さん.jpg

 

でも、彼女は意見を変えるふうではありません。言った私も、自信が持てなくなりました。だとしたら、男ってつらいな。

 

一昔前は、女性は男性の顔色を伺って生きているようなところもあったと聞きます。ところが、今や、女性はわが道を生き、男性は多くの荷物を背負って、周囲の空気を読みながら、なんとか無難に生きていこうと努力している。そんな世の中なのでしょうか。

 

 

寅さん、男はますますつらくなっていますよ。

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