社会: 2012年3月アーカイブ

中央高速道路をよく利用するのですが、一番嫌なのは渋滞にはまることです。渋滞しそうな時間はずらすようにしているのですが、事故や工事による渋滞もしばしばです。

 

昨日も工事渋滞にはまりました。工事は事故とは違ってある程度計画的に行うものです。大規模な工事であれば事前に告知されますが、ほとんどの工事は行ってみなければわかりません。

 

深夜など交通量の少ない時に工事すればいいと思うのですが、交通量の多い時に限って工事しているような印象を受けます(あくまで印象ですが)。きっと、深夜に工事すれば、作業員に支払うコストも高くなるのでしょう。平日の昼間であれば、割増料金もなく割安なのかもしれません。

 

その計算の前提では、顧客である通行者が負担しているコストをゼロと考えています。つまり、渋滞にはまったことによって顧客が被った費用を考慮していないのです。高速料金とは、その道路を利用することで、一般道路を利用することにより得られる経済的なメリットの対価のはずです。したがって、メリットが渋滞によって得られなくなったのであれば、何らかの金額を払い戻すことが合理的です。(鉄道の特急料金には、そういう制度があったように記憶しています)ETCの導入により、それも可能になったのではないでしょうか。

 

また、メリットの受取り損ない以上に、渋滞で到着が遅れたことにより実際に金銭的な損害を被る人もいることでしょう。その損失を補填するかどうか、実際に払い戻すかどうかは別にして、顧客が被った機会費用を認識することにより、渋滞を発生させないような、つまり顧客に迷惑をかけないような工事の仕方やアナウンスの仕方を工夫するようになるはずです。社員に顧客志向を盛んに植え付けようとしても、それだけではなかなか動きません。そう行動することが、会社ひいては個人に金銭的メリットがあることを見せることが大切ではないでしょうか。

 

日本では、公的機関を筆頭に機会費用の認識が非常に薄いと感じます。たとえば、一年前の計画停電。これによって発生した東京電力管内の機会費用も、本来損害賠償に加えるべきだとの議論があってしかるべきです。会計上の費用や目に見えるキャッシュアウトしか損失とみなさない風潮は、効率的な社会を形成するうえで大きな障害となっている気がします。機会費用を見える化することが、これからますます必要になってくることでしょう。

 

渋滞の運転席で、そんなことを考えてしまいました。

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