社会: 2009年8月アーカイブ

某HR系コンサルティングファームが組織変更を行い、これまであった人事制度コンサル部門と、人材育成コンサル部門を統合して、タレント・マネジメント部門としたそうです。

 

「企業の組織力強化のためは、ハードHRとソフトHRを融合して、支援すべきである」との目的の下、総合的タレント・マネジメント・サービスとして、再定義したのです。

 

一見すると、サービス強化の方策に見えますが、果たしてそうでしょうか?これは、稼稼働率が急低下している両部門を統合し、コスト削減することが、どうやら真の目的のようです。

 

社員の首きりを、リストラクチャリングと呼んで美化したのと似たような図式が透けて見えます。こういう場合に、横文字は便利なのです。

 

 

横文字になった時点で、それ以上その意味を深く追求しようという気持ちが薄れてしまうのは、なぜなんでしょうか?

 

まだまだ横文字に弱い日本人のマインドが、思考停止を助長しているような気がしてなりません。

 

 

 

 

杉並区立和田中学校前校長藤原和博さんの講演録が、今朝の日経に掲載されていました。子供の教育に、ゲーム的な学びを増やそうという主旨のものです。その中で気になった文章を列記します。

 

 

20世紀成長社会と21世紀成熟社会の最大の違いは、みんな一緒の社会から、それぞれ一人ひとりの社会に変わったということ。みんな一緒の社会では、「情報処理力」が大切だったが、これからは「情報編集力」を兼ね備えなければいけない。なぜなら正解がひとつではないから。(中略)

 

知識をつなげて最適解をつくっていく作業が必要だ。自分だけでなく、関係するほかの人も納得するような解を導き出すには、自分の知識と経験だけでは難しい。だからこそ、ネットワーク的な学びが重要になってくる。(中略)

 

これからは、みなが一人ひとりになる非常に恐ろしい社会。試行錯誤を許すような教授法が重要になってくる。

 

 

 

これは、企業も全く同じですね。「みなが同じ」というパラダイムが、依然基調として残っている社会の中で、「みなが一人ひとりになれ」と教育し、そう仕向けることは容易ではないでしょう。そして、子供も大人も、そのギャップに苦しんでいる

 

確かに、同じムラの中でぬくぬくと暮らす生活から、一人荒野に歩みだすには勇気がいります。しかし、ムラの住人を食べさせていくだけの食料が尽きかけているのであれば、遅かれ早かれ、そうせざるをえません。

 

 

勇気とともに武器も必要です。その一つが、情報編集力なのだと思います。必要な知識や知恵を自らの才覚で集め、目的に適うような形に編集するスキルです。

 

こういったスキルの開発の雛形のようなものは、まだありません。藤原さんが言うように、試行錯誤は必要条件になるのでしょうが。

 

そう考えると、今は、学校教育にしろ社員教育にしろ、過去の経験が使えない、パラダイムシフトの時代なのでしょう。大変ですが、チャレンジングでもあります。

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