経営: 2010年12月アーカイブ

村上隆や奈良美智を売り出したことで有名な現代美術のギャラリスト、 小山登美夫さんが、新人を発掘するときなどに作品をみるポイントを以下のようにあげています。

 

①こだわっている主題があるか

②既存の枠組みを超えようとしているか

③社会問題や自分自身と正面から向かっているか

④新しい表現へのアプローチがあるか

 

これは、企業を評価する際のポイントや、あるいは一緒に仕事をする人を評価する際に着目すべきとほとんど同じだと思います。

 

企業であろうがビジネスパーソンであろうが、そもそも何をやりたいのかがなければ、今後の発展性も限定されてしまうでしょう。もちろん、それはまだ明確な言葉で表現できないかもしれません。でも、もし本当にあるのであれば必ず明確に伝わってきます。

 

しかし、それが既存の前提/パラダイムにこだわっていると実現は無理でしょう。パラダイムが所与の状況で、後から参入して勝ち目はない。ゲームのルールをひっくり返してこそ、勝機が見えてきます。いい加減な常識にとらわれず、本質を見通す洞察力が必要です。

 

そして、それらを実現することで、最終的に何を目指しているかです。それは、社会とのかかわりや、あるいは自分自身の内面深くに関わる何かでしょう。企業でいえば、経営者の価値観が問われる部分です。

 

既存の枠組みを超え、さらに新しいアプローチを見つけなければ差別化はできません。企業もビジネスパーソンも、常に他者とは異なるアプローチを探し続けて、初めて見つかるものです。追い求めもしないものに、幸運は降ってきません。また、異なるアプローチを探し続けることに喜びを感じる素質も大切です。

 

 

このように考えてみると、企業経営がどんどんアートに近づいているとも言えそうです。ビジネスで成功しようと思ったら、アートにも慣れ親しんでおいたほうが良さそうです。

 

西友のTOBに絡むインサイダー取引で、元取締役の夫が告発されました。いよいよ起こるべきことが起きたという印象です。

 

インサイダーなどの監視をするのが社外取締役の役割なのに、そこからの情報でインサイダー取引が行われてしまったのです。検事が証拠に手を付けたのと同じくらい重要な事件だと思います。

 

にもかかわらず、元取締役本人は便益を受けていないとの理由で告発されないとのこと。法的には情報提供に関する規制がなかったということになります。これも驚きです。(直接)儲けなければ、情報を漏らしても犯罪にはならないということです。なぜこう法律になっているのか、理解に苦しみます。

 

夫が逮捕とあるように、この元取締役は女性で、(推測ですが)ファッション業界では超有名なキャリアウーマンの先駆者的な人です。ファッション業界に特化したビジネススクールの名誉学長(現在)でもあります。こういった名誉ある人なので社外取締役に選任されていたのでしょうが、たとえ夫婦間であっても守秘義務は守るべきという常識さえお持ちでなったのでしょうか。

 

形式だけアメリカに真似た制度のつけが、今後頻発するのではないかと危惧します。

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