経営: 2010年10月アーカイブ

日本企業も日本社会も、環境変化に適合させるための改革がなかなかできません。制度をいろいろいじったりはしていますが、一言でいえばそれに魂が入っていないので、浸透していかないのです。では、どうしたらいいのでしょうか?

 

日曜の日経朝刊にGE前CEOのジャック・ウェルチ氏のインタビュー記事が載っていました。米国経済低迷へのコメントでは、

ウェルチ.jpg

 

「解決策は『イノベート! イノベート! イノベート!』。起業家に自由を与え、政府は干渉しない。中小企業などに負担をかけるような規制はしくべきではない」

 

と述べています。アメリカですらこうなら、いわんや日本をや、です。イノベーションなくして、日本企業は生き残れないでしょう。

言に絞ってメッセージを強調する姿は現役時代と変わわず、明解です。

 

イノベーションを促すためには、

「イノベーションの創造に報いなければならない。報酬制度はもちろん、『彼らがヒーローなのだ』と称賛する企業文化を生み出さなくてはならない。もっと機会を与えて、社員を奮い立たせることが、今の経営者の大切な仕事だ」

 

また、現役経営者の評価を聞かれ、

「個々の現役CEOについて評価したくないが、一人だけ触れたい。米アップルのスティーブ・ジョブス氏だ。(中略)彼自身は類まれな人物だが、革新的な人材は育てることができる。チャンスに恵まれず、『ジョブス氏』になれていない人材を掘り起こすことだ」

 

こう答えています。企業が現在何を最重視するのかをまず明確にすることが必要です。その上で、それを体現する人、あるいは体現出来そうな人を徹底的にヒーローに仕立てることで、全社員の意識を変えることが経営者の仕事だと言っているのです。

 

論理を感情に訴えて実現するという、彼のマネジメントスタイルが明確に出ていると思います。多くの日本企業の経営において欠けているのは、この部分だと思います。理詰めの分析(情を加味した分析でなく)に基づいて経営の優先順位を決め、後は社員の感情をうまくコントロール(情に訴えたり、人事権という論理をかざすのでなく)してその実現を促す。変革とは、ロジックとエモーションの融合なくして実現はしないでしょう。それに全責任を負う、そういうリーダーが求められているのだと思います。

 

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