経営: 2010年2月アーカイブ

トヨタのリコール問題は、当初の想像以上に波紋を広げています。さまざまなメディアで、多くの意見が湧き上がっています。

トヨタ.jpg 

 

トヨタには、「目立な。道を歩くときは、端をうつむいて歩け」という奥田氏のかつての発言のあるように、突出することを恐れる文化がありました。謙そんの美徳というよりも、トヨタのような田舎者が目立って、調子に乗るとろくでもないことが起きる。華やかさは他社に譲って得だけ取れ、というしたたかな計算に基づくものだったと思います。(私も三河出身なので、その感じよくわかります)

 

しかし、10年くらい前から、最強トヨタという言い方が一般化するのに歩調を合わせて、目立つなという文化が薄まってきたように感じます。

 

 

もうひとつは、業績面ではグローバルリーダーになったものの、中身はそこまで成熟していないことが推測されます。

 

米自動車コンサルタントのマリアン・ケラー氏が、今回の騒動について、流石というコメントを発言しています。

 

それでも、品質問題に関する豊田章男社長の2月初旬の会見が(トヨタがNHTSAにフロアマットの取り外しなど安全対策実施を通知した)昨年10月、いや2週間前でもいい、もっと早く行われていたら、(米国における)トヨタ批判の大合唱はこれほどまでは高まらなかったのではないか。トップが責任を公にすれば、後はメーカーとクルマの所有者とのあいだの問題として収まるからだ。

 だが、それをしなかったうえに、別の経営幹部が要らぬ発言までしてしまった。(トヨタの)佐々木眞一副社長がインディアナ州のCTS社のアクセスペダルを採用した理由について、「現地への貢献を考慮したため」という趣旨の発言をしたのは、はっきり言って、言語道断だ。もちろんCTS社の技術力を評価するという前置きもあったが、あのひと言だけで、まるで現地のために劣った企業と取引したと言っているように聞こえてしまった。

やや厳しいことを言えば、トヨタはグローバル製造企業であっても、真のインターナショナル企業にはなり得ていないということだろう。異なる文化を超えて意図するところが正しく伝わるよう、何らかの助けが必要なのではないか。

Diamond on line 2/15 http://web.diamond.jp/rd/m595094

 

トラブル発生時の社長の出方と、副社長の発言。それぞれトヨタ側にも言い分があるでしょうが、世界ではその言い分では通らないのです。そこが、トヨタがグローバルカンパニーになりきれていないまま、影響力が巨大になってしまった不幸なのだと思います。製造者としては世界的だが、企業としてはそうではないということなのでしょう。

 

このような状況は、トヨタに限ったことはありません。ケラー氏のいう真のインターナショナル企業に近づくため、何が日本企業に必要なのでしょうか。

このアーカイブについて

このページには、2010年2月以降に書かれたブログ記事のうち経営カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは経営: 2009年12月です。

次のアーカイブは経営: 2010年3月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1