毎回欠かさず観る数少ないTV番組のひとつが、NHKのサラメシです。ランチを通して、ビジネスパーソンや企業の実態がよく見えてきます。
今年第一回の放映で、北九州の会社のランチ(お弁当)の話がありました。その会社は社員10人程度の小さな建設会社。現場にいる従業員のランチは、朝会社で受け取った手作り弁当。昼時、ブルーシートの上で従業員が車座になった弁当を広げています。その弁当は、なんと毎朝社長が全員分を作っているのです。当然カメラは会社に向かい、社長を探します。出てきたのは、九州のおばちゃん。
もともと彼女の父親が社長だった会社を継いだのですが、ついでに母親が担当していた弁当づくりも引き継ぐことになったのだとか。なぜ毎朝社員のために作り続けるのか問うと、こんな答え。
「私はお客さまのために作っているんです。現場にいる従業員がいい仕事をしなければお客さんに喜んでもらえません。そのためには、従業員に現場で頑張ってもらわなければなりません。私ができることは、美味しい弁当を作って従業員を助けることくらいです。」

毎朝ひとりひとりに、弁当を手渡して送り出す社長。
「きょうも元気に全員を送り出せて良かった。」
サラメシでは、しばしば従業員のためにランチを用意する社長が登場します。現場に直接出ない社長にとって、社員が気持ちよく仕事できる環境を整備することこそもっとも重要な役割のような気もします。
こういった会社では、従業員のチームワークも良さそうですし、なにより社員を大事にしているという経営の意図が直接伝わり、ロイヤリティーも高いのではないでしょうか。
前回、組織は持続性が重要だと書きましたが、組織が持続できる大きな要因のひとつは、社員のロイヤリティーの高さだと思います。そのために社長が自ら社員のランチを用意する。組織の長たる社長としては、非常に理かなった行動といえるでしょう。
「社員が一番」と公言する社長は多いですが、どれだけ行動で示しているか。社員は社長の言動に非常に敏感で、ウソはすぐ見抜きます。
大企業でさすがに社長が弁当作りはできませんが、別のやり方で示すべきで、持続的成長力のある企業では実際にそれがなされていると思います。
コメントする