集団とチームと組織

2015年が始まって、はやくも9日が経ちました。今年は、組織能力について自分なりの考えをまとめる年にしたいと思っています。

 

私が組織能力について、漠然とですが考え始めたのは、新卒で銀行に入行した頃でした。学生とは全く異なる銀行という組織に放り込まれて、それまでとあまりの違いの大きさに面食らったものです。詳細は割愛しますが、当時就職ランキングでトップにあったF銀行ですが、入る前と入ってからでは印象が大きく異なりました。一番強烈に感じたのは、そこで働いている行員が楽しそうではないことでした。仕事ですから、いつも楽しそうというわけにはいかないことくらいはわかっていましたが・・。

 

一人ひとりの行員はいい人ばかりで、仕事を離れたときには結構楽しそうなのですが、仕事の場面ではみんな辛そうに見えたのです。朝、支店が開く前、シャッターが閉まった店内では、心なしか溜息が聞こえるよう。なぜ、仕事をする「集団」になるとこうも辛そうに見えるのか。

唯一、みんなが朝元気に明るく活動したのは、夜大雪が降った翌朝でした。みんな嬉々として協力して店の前の雪かきに精を出していました。普段とのあまりに違いに、私は不思議な気がしたものです。そこには、自然とチームが出来上がっていたのです。

 

「集団」、「チーム」、「組織」、複数の個人からなる「集合体」にはいろいろな呼び方があります。それぞれ微妙にニュアンスが異なると思いますが、私はこう使い分けています。まず、個人の集まりだけを意味するのが「集団」。たまたま交差点の信号機で信号待ちをしている人々も、同じ信号待ちをする集団です。たまたま何らかの理由で、場と時間を共有している人々です。

次にチームとは、異質な人間が共有の(かつその達成を熱望する)目標に向けて助け合う集団。まさにスポーツチームや外科手術を行う医者や看護師らのチーム。チームメンバーはお互いに助け合えるような人間同士の強い「信頼」で結びついていることが条件です。

そして最後の組織とは、少しずつ違った目標をもった複数のチームがそれぞれの役割を果たすことで、全体としてさらに大きな目標を成し遂げていくチームの集合体。チーム間の連携は、人間の顔が見えない規模になることも多いため、信頼以上に「仕組み」で担保する必要があります。人間の身体は、複数の器官からなる「組織」です。いうまでもなく企業は組織です。そして、組織がチームと最もことなるのは「持続性」を目標としていることだと思います。基本的には持続することを目的にしない組織はない。(産業再生機構のような特殊な事情による期間限定組織はあります)どんな組織でも、持続することを諦めたら即組織ではなくなり、烏合の集団になります。倒産に直面した企業がまさにそう。


以上をまとめると以下の関係となります。右側にいくほど条件が追加されていく。

個人<集団(場の共有)<チーム(目標の共有)<組織(持続性重視)

 

かつて私が所属していた銀行支店でも、もちろん共通の目標らしきものはあったでしょう。しかし、それは数値目標であり、どんなに支店長に尻を叩かれても熱望するような目標ではなかったと思います。(支店長は熱望していたかもしれませんが・・)つまり同じ支店に勤務する集団だった。ところが、大雪に直面して、来店するお客さんが足を滑らせないようしたいという共通の熱望する目標を得たことで、チームとなったのだと思います。

支店という集合体も、行員が一体となって雪かきをするチームという側面と、複数の部署(融資、預金、窓口、総務など)からなる組織という側面があります。つまり、同じ集合体もどの視点でみるかによって、集団になったりチームになったり組織になったりする

支店経営を担う支店長は、支店を持続すべき組織とみることでしょう。しかし、バブル期、短期的成果だけを追求し自分(支店長)が転勤になると、膿が出て支店業績が急低下するという現象も見られました。その支店長は支店を組織としてはみていなかったのです。そういう支店長が多ければ、銀行組織は崩壊することでしょう。

 

さて、これからは「組織」の能力について考えていきたいと思います。

 

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このページは、福澤が2015年1月 9日 15:19に書いたブログ記事です。

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