研修における「モノからコトへ」

これからのビジネスは、製品といったモノを提供するのではなく、コト(出来事のコトに由来するのでしょうか)すなわち「経験」を提供すべきだとさかんにいわれます。有名なところでは、任天堂はWiiという新しいゲーム機を提供したのではなく、家族みんなでゲームを楽しむ、そういうコミュニケーション経験を提供したといわれています。また、ヤマト運輸は、単に小口荷物の個別宅配サービスを開発提供したのではなく、その後の進化も加え「新しい生活形態」まで提供しているといえそうです。

 

このように、顧客が評価するのはモノ(知識も含みます)やサービスではなく、自分の生活や経験が「変わる」ことです。

 

これは、顧客を受講者とすれば企業研修の世界にも当てはめることができます。知識というモノを提供するのではなく、これまでイメージしていなかった新たな「未来の経験」を提供すること。

 

別途記載した大手化学品メーカーの新入社員研修の例でいえば)漠然と仕事で英語を使うことになるかもという「未来の経験」のイメージを、英語を駆使して世界と渡り合っている自分の「未来の経験」のイメージに変えることです。

 

また、例えばマネジャー研修で期待されるのは、部下を管理するという新しいスキルを身につけさせることではなく、率いるチームを自分のやり方で活性化させ、業績面の成果とメンバーの成長を実現するという、できるだけ具体的な自分自身の「未来の経験」をイメージさせ、そこへ近づこうとするエネルギーを引き出すことです。それができれば、当然そのために新しいモノすなわち知識やスキルを望むようになります。最初からモノを提供するのではなく、コトの中にモノを織り込むのです、

 

ヒトは学び、成長することで「未来の経験」を大きく変えていくことができます。当たり前といえば当たり前のことですが、それがイメージできないと希望が持てなくなります。20年この会社で頑張っても、せいぜい●●課長(あるいは取締役)みたいになるのが関の山か、と思わせてしまえば希望は失われます。

 

もちろん希望は研修で生まれるものではなく、日々の仕事の中で生まれてくるものです。しかし、日常の中で希望が生まれにくい状況があるとすれば、せめて研修の場で希望の光を垣間見せることは、とても意味深いことではないでしょうか。少なくとも、社内でそういうことを真剣に考えている優秀なスタッフがいることを示すだけでも、「未来の経験」に影響を与えることができるに違いありません。

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このページは、福澤が2011年5月13日 09:34に書いたブログ記事です。

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