普遍スキル学習を業務に織り込む

企業研修にもいろいろありますが、実務で使える技術やスキルの習得を狙うプログラムが最も多いと考えられます。その企業固有のスキルであれば、上司によるOJTが最も効果的でしょうが、普遍スキル(どんな企業でも職種でも必要な共通スキル)の場合は、やはりOffJTつまり研修の出番となります。論理思考、プレゼンスキル、ロジカル・ライティング、ファシリテーションなど、たくさんありますね。

 

本での自己啓発よりは、集団でリアルの場で学んだほうが明らかに効果的です。本はわかった気にさせてくれますが、実は自分のモノになっていないのが普通です。その点、集合研修では分かっていないことに気づかせてくれます。その差は非常に大きい。

 

でも問題は、研修を受講した後です。例えば、ロジカル・ライティングの書き方を理解し、その難しさを体感したとしても、それを実務で使い続けなければ決して力にはりません。つまり、研修で何となく体験した普遍スキルやツールを、自らの業務に織り込みかつフィードバックをもらうことが必要なのです。

 

もちろん、上司が毎回添削でもしてくれれば、必ず上達し使えるようになりますが、上司が添削する時間はともかく、能力がない場合はどうするのか。ここに組織の中にスキルギャップがうまれている難しさがあります。業務で必要とされるスキルが、組織固有スキルから普遍スキルへシフトしている、また普遍スキルの中でも新しいスキルの重要性が高まる。そんな状況で、上司に指導させることには無理があります。育った時代が違うのですから。

 

 

解決策はふたつです。

ひとつは、上司も含めた組織ぐるみで研修を受け、その組織の業務プロセスにそのスキルのフィードバックメカニズムを組み込むことです。必ずしも上司が指導するのではなく、相互指導によって全体のレベルアップを図るのです。その場合、上司も部下に教えを仰ぐ謙虚さが必要ですが、もしそれができれば組織能力を継続的に向上できる素地ができるかもしれません。すなわち「学習する組織」化です。

 

もう一つは、あくまで個人のスキルアップに絞り、外部の専門家に定期的に業務での活用能力をチェックしてもらうフィードバックを仰ぐやりかたです。すべてのスキルでできるわけではありませんが、例えばロジカル・ライティングのようなスキルであれば、バーチャルでも十分フィードバック可能です。

 

ロングセラー「考える技術・書く技術」の訳者で、先月その入門編も執筆された山崎康志さんは、実際に研修受講者から実務で書いたレポートをメールで送ってもらい、フィードバックをされているそうです。入門 考える技術・書く技術
山崎 康司
4478014582

 

普遍スキルの能力向上について、いかに業務に織り込み継続的に学習できるようにするか、そういう視点がますます重要になってきます。

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このページは、福澤が2011年5月17日 16:51に書いたブログ記事です。

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