難しいことを楽しく!&カフェ:リーマン予想から

今週の日曜の夜、NHKスペシャル  「魔性の難問 ~リーマン予想・天才たちの闘い」という番組を観ました。ものすごく、面白かったです。昨年も、数学の難問にとりつかれた数学者に関する番組がありましたが、この分野におけるNHKの制作力はすごいですね。

 

さて、リーマンといっても、昨年破綻したあのリーマンではありません。以下NHKのサイトから転記します。

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数学史上最難関の難問と恐れられ、今年問題発表からちょうど150年を迎えたのが「リーマン予想」である。数学の世界の最も基本的な数「素数」。数学界最大の謎となっているのが、23571113171923・・・と「一見無秩序でバラバラな数列にしか見えない素数が、どのような規則で現れるか」だ。数学者たリーマン.jpgちは、素数の並びの背後に「何か特別な意味や調和が有るはずだ」と考えて来た。「リーマン予想」は、素数の規則の解明のための最大の鍵である。最近の研究では、素数の規則が明らかにされれば、宇宙を司る全ての物理法則が自ずと明らかになるかもしれないという。一方、この「リーマン予想」が解かれれば私たちの社会がとんでもない影響を受ける危険があることはあまり知られていない。クレジットカード番号や口座番号を暗号化する通信の安全性は、「素数の規則が明らかにならない事」を前提に構築されてきたからだ。

番組では、「創造主の暗号」と言われる素数の謎をCGや合成映像を駆使して分かりやすく紹介し、素数の謎に挑んでは敗れてきた天才たちの奇想天外なドラマをたどる。

 

このような難しい内容を、私のような一般視聴者に(ある程度)理解させて、楽しませるのは、並大抵のことではできません。映像の持つ柔軟性や、説得力をいかんなく発揮して、一本のエンタテイメントとして仕上げる実力には、恐れ入りました。

 

難しいことを、わかりやすく解説し、しかも楽しませることほど難しいことはありません。現代の人材開発や教育で、もっとも重要なことだと思います。

 

 

もう一つ(今度は中身ですが)面白かったのは、異分野との対話によって、重大な発見があったということです。

 

リーマン予想と格闘していたダイソン博士が、コーヒーラウンジで偶然居合わせた原子物理学のモンゴメリー博士に、突然自分の研究について語りだしたそうです。すると、何となく聞いていたモンゴメリー博士が、自分の研究分野にある「原子核のエネルギー間隔」の式と全く同じだと指摘したのです。一見、全く無関係の原子核と数学が結びついたのです。

 

大きな発見や研究の進歩は、このようなセンレンディピティによると、よく言われますが、まさにその典型だったわけです。

 

細分化をよしとする科学の欠陥が、ここに表れています。それを打開するのは、多様性や想像力、物語など、よりホリスティックなアプローチなのだと思います。

 

 

以前、 カフェについて書きましたが、具体的な形としてはカフェが思い浮かびます。モンゴメリー博士と、ダイダイソ博士が対話したのもコーヒーラウンジでした。

 

そういえば、つい最近友人の大川さんが「ワールド・カフェをやろう!」(日本経済新聞出版社刊)という本を共著で出しました。越境、つながり、結びつきなどの重要性が、ますます理解されていくようです。

ワールド・カフェをやろう
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このページは、福澤が2009年11月19日 13:05に書いたブログ記事です。

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