「悩み」を「問題」へ

経験を積んでくると、だいたい状況を把握すれば、解決できそうな問題かどうかのあたりがつくようになってきます。もちろんその時点では、どうやって解決するかの筋道が見えているわけではありません。でも、何となく雰囲気?でわかります。

 

 

クライアント(お客様)の異常事態に対処することを常態としているコンサルタントは、特にその鼻が利きます。

 

クライアントは、その時点ではまだ漠然とした「悩み」を抱えています。「悩み」とは、今の自分の力ではどうにもならないと感じている苦境のことです。たとえば、カリスマ創業経営者がまだ健在の企業で、指示待ち文化が浸透しており経営幹部が育たず、経営者から「なんとかせー」と迫れ、苦境に陥っている人事部長がいるとしましょう。それは、「悩み」です。

 

コンサルタントは、クライアントの悩みを聞き、即座に「問題」になるかどうかを判断します。「問題」とは、自力で解決できると思われる苦境のことです。なぜそうなっているのか、創業経営者はどう認識しているのか、そして彼に何を選択してもらうべきなのか、社員や他の経営陣はどのように理解しているのか、経営上の意思決定は実態としてどうなされているのか・・・、などの「問い」を立てるのです。

 

問いが整理できれば、おおむね解決できそうかどうかのあたりがつき、この時点で「問題」かどうかが認識できます。問いへの仮説が設定できれば、さらに解決の筋道が見えてきます。「悩み」が「問題」に転化するということは、そういうことです。

 

 

国際関係論では、DangerRiskを区別しているそうです。Dangerとは、関与するファクターが多過ぎて、手のつけようのない危険のことです。イラクやアフガニスタンがそうなのかもしれませんね。一方、Riskとは、関与するファクターが考量可能であるので、管理したりコントロールしたり、ヘッジしたり出来る危険のこと。(終戦直後の日本は、情報収集を怠らなかったアメリカにとってRiskだったのかも。)従って、外交の要諦は、DangerRiskに変換することなのだそうです。悩みと問題の関係に似ていますね。

 

一般に「仕事ができる人」とは、このような変換作業をスムーズに行う能力が高い人だといって間違いないでしょう。

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このページは、福澤が2009年11月20日 15:14に書いたブログ記事です。

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