欧米企業と日本企業における「組織開発」

昨日、日本CHO協会主催のセミナー「新・人財開発元年 今、『組織開発』のあり方を問う」に参加してきました。

 

以前も組織開発のテーマで書いたことがありますが、日本企業にとっての「組織開発」は、なかなかわかりにくいものです。大手企業人事の方々と少し対話する時間がありましたが、どの方も社内では組織開発という考え方自体まったくないとのお話しでした。

 

組織開発とは、Organizational Developmentの訳語で、そもそも日本語にはなかった言葉なのでしょう。チームビルディングという言葉と同様。欧米企業では、本社から日本法人へ、ODマネジャーを採用しなさいとの圧力が常にかかるが、日本にはODマネジャーはいないし、そもそもODがないので苦労するとの、中島さん(シティグループ証券常務執行役員人事部長)のコメントが、如実に現状を表していました。

 

そもそも組織観が異なります。欧米を中心とした外資系企業では、「組織」という言葉からは、レポートライン(報告関係)をイメージします。一方、日本企業では、「営業部」「総務部」といった入れ物(Box)をイメージすることでしょう。

    OD2.jpg   

外資系企業では、タテのラインは強固でも、横や箱の中の結合力は、相対的に弱くなっています。だから、集団を効果的なチームに転換するような作業が必要になります。(見えにくいですが赤線の部分)それが、ODのもともとのニーズだと思います。また、当然他の部門とも結合が弱く、さらにM&Aなどのよる組織再編も頻繁に起こるので、プロアクティブに「組織」を開発する必然性があります。

 

日本企業は、共同体としての組織(箱)が確立し、そこに属す個人間の関係性も比較的強く結合力も高いため、あまり「開発」の必要はありません。他部門とも、そこにいる同期とのつながりや、あるいは頻繁な異動でなんらかの人的つながりがあるため、それほどは隔絶されていないのです。

 

ただ、ここでも状況変化はあります。日本企業でも、M&Aなどは珍しくなくなりました。また、個人間の関係性も変わりつつあります。競争激化に伴う成果主義の浸透、組織のフラット化、プレイングマネジャーの常態化などで、かつての結合力、相互依存関係が揺らいでいます。

 

 

だから、今漠然と「組織開発」へのニーズが高まっているのでしょう。ただ、以前も書いたように、単に欧米企業を真似るだけでは、成果主義導入の失敗と同じように、うまくいかないと思います。そこにチャレンジがあるのです。

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このページは、福澤が2009年10月15日 11:57に書いたブログ記事です。

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