あえて今、組織開発の必要性

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組織開発という言葉は、日本では人材開発に比べ一般的な言葉にはなっていません。にもかかわらず、多くの日本企業は意識しているしていないにかかわらず、人材開発以上にさまざまな取り組みをしてきました(社員旅行、運動会、寮生活、小集団活動、組織活性化運動など)。

 

あまりに当たり前すぎて、あえて定義するまでもないことってありますよね。それかもしれません。しかし、あえて人材開発との対比で定義してみたいと思います。

 

人材開発:「個人」が本来もっている能力を顕在化させること

組織開発:「組織」の能力を最大限に高めること

 

 

では、組織の能力とは何でしょうか? 私は以下のように理解しています。

 

=∑(個人の能力) X ∑(個人と組織のアライメント) X 個人間の関係性

 

第一項に対応するのが人材開発で、第二、三項が主に組織開発の領域だと考えます。これは、組織開発の目的である、組織の成果を高めるアプローチが、人材開発とは別に二つあることを表しています。ひとつめが、個人と組織の方向性を整合させるアプローチ。ビジョンや価値観、経営理念を社員に浸透させるというものなどですね。二つ目が個人間の関係性を開発する、もう少しひらたく言えば好ましい人間関係を築くアプローチです。(「好ましい」が曲者ですが・・)

 

そして、今、個人間の関係性に問題が散見されるようになってきています。

 

 

 

自律志向の強い欧米人が、集団と組織(あるいはチーム)を全く別ものと考えるのに対して、日本人は集団と組織の区別があまりないように思います。以前触れましたが、欧米では別ものゆえチームビルディングが非常に重要な役割を果たします。ところが日本では、集団が定義された時点(メンバ-が集まった時点)で、自然とチームになっているのです。かつては、それが強みでした。

 

 

その前提は、集団の同質性です。同質メンバーであればチームになることは容易です。ところが、多様な集団となった時点で、急にチームビルディングができなくなるそうです。そして、多様性が急速に高まっているのです。

 

また、たとえ同質チームが維持できたとしても、弱点があります。なんとなくできる同質チームは、未経験で緊急性の高い状況において、迅速に対応することが苦手だそうです。不確実性に弱いのです。やはり、過去の経験が使えない状況も増えています。

 

 

つまり、日本の組織の強みだった個人間の関係性が、内部と外部から危うくなってきているということです。だから、マクロで見れば、日本型から欧米型へシフトせざるをえないとは思います。(それが、コーチング、ファシリテーション、メンター制度、りーダーシップといった手法やスキルが流行っている背景にあるのでしょう)

 

しかし、個人の自律性がまだまだ確立していない日本企業で、そのまま直輸入してうまく適合するとは思えません(そういう話は枚挙に暇がありません)。だから難しいのです。共同体としての基盤は維持しつつも、多様性や不確実性、変化に適応する組織(チーム)をいかに開発するか、単なる輸入ではなく、独自の組織開発のアプローチが必要なのではないかと考えます。

 

 

これから、多くのご意見をいただきながら、少しずつその方法を考えていきたいと思います。

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このページは、ブログ管理者が2009年9月24日 12:29に書いたブログ記事です。

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