日本国内の生産者人口すなわち消費が活発な人口が減少し続けることが明らかな状況において、企業は海外あるいは外国人に目を向けざるを得なくなっています。これまでも、もちろんグローバル化だとは言われてきましたが、それは大きな日本市場に追加する限定的な市場(しかも日本と同レベルの先進国市場に限る)という意味合いが、暗にはあったと思います。しかし、人口減少が始まった現在、グローバル化ははるかに深刻な意味を持ちます。
楽天やファーストリテイリングが英語を社内公用語にすると決めたのは、その文脈でとらえるべきでしょう。でも、議論が英語という語学の問題だけに向かうとしたら、ちょっと違うのではないかと思います。
最も重要な問題は、異文化のもとで適切なコミュニケーションが図れるかどうかであり、語学以上に影響が大きいのは異文化リテラシーを持っているかどうかだと思います。ここでいう異文化リテラシーとは、以下3点のセットだと考えます。
①自分がどのような文化的背景を持ち、それがマインドセットにどう影響しているかを認識すること
②他者が同様にどのような文化的背景を持ち、現れている言動がどのようなロジックに基づいているのかを理解すること
③双方の文化を尊重しつつ、創造的な解決策を生み出すこと
このような思考パターンが取れなければ、たとえ語学が流暢であったとしても、業務で成果を出すことはできないでしょう。
語学はもちろん手段としての必要条件ですから、語学とセットで異文化リテラシーを習得すべきなのでしょう。
さらに言えば、異文化とは国や民族のことだけではありません。例えば、新入社員にとって上司は異文化の対象ではないでしょか。私はそうでした。その頃新人類という言葉がありましたが、まさに双方が異文化だと認識していたわけです。男女もそうですよね。
そうなると、会社や仕事の内容に関わらず、異文化リテラシーはビジネスパーソンにとって必須のスキルになるのではないでしょうか。
コメントする