年末年始は、普段あまり見ないTVを観るため、いろいろ発見があって面白いです。NHK-BSでイチローのインタビューをやっていました。もちろん、イチローの話はとても興味深いのですが、イチローへのコメントをしたピート・ローズ
の話が印象に残りました。彼のメジャー通算安打4256本は、

不動の大記録です。
うろ覚えですが、こう語っていました。
「私が記録を打ち立てることができたのは、能力が他の選手より高かったからではなく、欲望と情熱が他の選手よりも大きかったからだ。普通の選手は、自分の能力の範囲内で欲望を抑え、そしてその欲望に基づいて情熱を持つ。つまり能力、欲望、情熱の順番で小さくなっていく。
しかし私は違った。まず情熱があり、それを活かすために欲望があり最後に能力がついてきた。試合に出なければヒットは打てない。だから、先発を外されたら監督の足をひっかけ転ばしてやった。そうすると、しぶしぶ監督は出場させてくれたものだ」
ある程度大人になって、自分の身の程をわきまえるようになると、まず能力から考えてしまうものです。能力が足りるかどうか、当たりがつくようになるからです。そうなると、出来ることの中から欲望が湧くことを選び、それに必要な情熱を傾けるようになるのでしょう。現在の能力が行動を、そして成果を規定するわけです。
それに対して子供や若者は、できるできないに関わらず、理屈なしに「やりたい!」という情熱がスタートにあります。ピート・ローズは、とにかく試合に出てヒットをたくさん打ちたいという情熱を持ち続けました。たぶん、ヒットの記録を打ち立て、年棒を大幅アップさせたいとか名前を残したいとかの欲望は、二の次だったでしょう。そのために、(やむを得ず)能力が高まっていったのではないでしょうか。ちょうど、やたら虫が好きな子供が、虫の知識に関しては誰にも負けないくらいの博識になってしまうように。
大人はもう子供にはなれません。ただ、子供や新人の頃に持っていた情熱を思い起こすことはできるでしょう。そして、今の能力を前提として考えるのではなく、そんなことを忘れてとにかく情熱に従ってやってみる、ということも時には必要なのではないでしょうか。そのためには、自分が情熱を注ぎこむことができる対象を改めて見つめてみるのも悪くはありません。
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