鎖国と開国

日本列島は数千万年前までは大陸の一部で、それが徐々に分離して今のような日本列島になったということは常識ですが、実はいったん大陸から分離した後も、何度もくっついたり離れたりを繰り返してきたことが、分かってきているそうです。

 

その結果日本列島は、世界でもっとも動物の固有種、つまりそこ以外には存在しない種が多いということです。これは驚きです。日本には132種の固有種がいますが、あのガラパゴス諸島ですら120種です。日本と似た島国のイギリスはゼロ。日本はガラパゴス以上にガラパゴスなのです。

 

絶海の孤島ガラパゴスは大陸から分離されて以来ずっと孤立していたので、固有種は最初から増えることはありませんでした。しかし日本は、何度も接近を繰り返してきたため、その都度新種が渡来してきたからだそうです。そして、それらは日本では絶滅しなかったのです。

 

翻って人類、つまり我々日本人も同じことです。海外との接触は、何度も開けたり閉じたりを繰り返してきました。有名なところでは、聖徳太子の頃の遣隋使、遣唐使、清盛の日宋貿易、足利義満の勘合貿易、信長時代の南蛮貿易、そして黒船です。その時期以外は公式には閉じていたとも言えます。但し鎖国時代があったからこそ、国風文化が花開いたともいえます。日本列島に渡ってきた種が、日本で独自に進化を遂げたように。

 

日本人も地面と同じように、固有種(固有文化)が世界一残る民族になっていったのでしょうか。日本のガラパゴス化を批判する向きもありますが、そもそも本家本元は日本だった。そう割り切ってしまえば、また異なる世界も見えてくるのではないでしょうか。だとすれば、シャープがスマートフォンや電子書籍サービスを「ガラパゴス」とネーミングしたのも、開き直りではなく現実直視なのかもしれません。

 

ところで、現在は鎖国時代なのか開国時代なのか。黒船以降の開国時代が終わり鎖国に入ったという見方もできるかもしれませんが、そうではないのかもしれません。

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このページは、福澤が2010年12月 6日 11:59に書いたブログ記事です。

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