ソフト・自律・個別の時代のマネジメント開発

ハードからソフトへ、統制から自律へ、普遍から個別へ、マクロで見ればあらゆる物事がこの変化の途上にあるように感じます。これは、世界が豊かになることの必然なのでしょうか。

 

一般に企業を強くするための支援サービスと言えば、戦略策定を支援する戦略コンサル、人事制度構築を支援する人事コンサル、情報システム構築を支援するシステムコンサルなどが思い浮かびます。いずれも、普遍解があることを前提に、ハード面から統制を効果的に行うことをサポートするサービスといえるでしょう。これは、経営者の関心がそれらに向いていることの裏返しとも言えます。

 

しかし、大きな時代の変化の中で、このアプローチだけでは足りないとも感じているのではないでしょうか。マネジメント開発、すなわち強い組織を作ろうとすれば、組織構造や評価制度や業務プロセスを変えるだけでは足りない。人々の関係性や意識、能力、熱意といったソフト面の充実があって、はじめて実行力が生まれる。構造や制度は、それらに間接的に働きかける手段の一つしかすぎません。いわば梃子です。でも、他になかなか方法が見つからないので、そういったハード面のアプローチに頼るのかもしれません。でも、本丸はソフトなのです。

 

 

では、ソフト面の開発などできるのでしょうか。当然のことながら、これは時間がかかるし難易度も高い。ソフトは会社運営のプロセス全体に織り込まれており、計測が難しい、すなわち管理も難しいものです。いわば結果としての企業文化をコントロールできるのでしょうか。

 

企業文化とは、価値観や非公式な規範、習慣化した手順、意思決定のやり方などの積み重ねによって時間をかけて形成されるものです。その形成プロセスに適宜入り込んで刺激しなければ、企業文化に影響を与えられません。つまり、介入が必要です。具体的には、問題解決や意思決定、コミュニケーションの場面での介入でしょうか。そのとき、介入者はその組織の文化に染まっていては、影響を与えづらいでしょう。「社内の常識は社外の非常識」だと知らしめなければならないのですから。

 

細かいことで言えば会議の進め方一つとっても、それが企業文化に反映されています。それらひとつずつに、疑問を呈していく必要があります。

 

そして、介入の対象としてもっとも重要なのはトップです。トップが言行不一致であれば、社員に何も期待できないでしょう。でも、社内にはトップに対し介入できる人間はほとんどいないと思っておいたほうがいい。もちろん、社外取締役に期待したい部分ではありますが・・。

 

なにより、プロセスへの介入を通じて企業文化ひいては組織能力を好ましいものに変えていくには、一貫性が欠かせません。ある局面と別の局面では異なる基準で意思決定などされれば、混乱しか生みません。そのためには、明文化した規範やルールも必要かもしれません。

 

このように、ソフト・自律・個別の時代には、ハード・統制・普遍の時代とは異なる経営が必要なはずです。まず、その認識を共有したいと考えます。

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このページは、福澤が2010年6月23日 15:19に書いたブログ記事です。

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