個と組織:祝サッカー日本代表 ワールドカップ2010初勝利

本田のシュートが決まった瞬間、深夜にも関わらず、大きく拍手してしまいました。それほど、待望の一点でした。

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直前の強化試合4連敗で迎えた緒戦。対カメルーン戦を、1-0で守り抜き勝ったのです。不安が大きかっただけに、日本中が歓喜したことでしょう。

 

この試合は、「個」のカメルーンと「組織」の日本の戦いといわれてきました。たしかに、カメルーン選手の体力は超人的です。日本は、個では勝てないので組織力で勝負するしかありません。サッカーに限らず、日本の宿命のようです。

 

しかし、最近の試合では韓国にすら2連敗。その程度の組織力で、ワールドカップの強豪に太刀打ちできるのか。それが、不安の根本だった。

 

昨日の試合では、これまでとの違いを見せてくれました。それは、組織力は活かしつつ、前線では個の力も活かすというハイブリッド型です。松井、本田、大久保のFW三人は、これまでのように来たパスを回すことばかりに拘泥するのではなく、個人でできるだけキープし、隙を見つけて個人突破することを徹底していました。そうして、溜めを作ることで数的優位を築き、前線での有利な展開を実現したのです。ただし、守備はチーム一丸となって組織で守りきりました。

 

中村俊輔に代表されるような、パスを中心に組織で攻めるパターンとは大きく異なりました。組織力だけでは、アジア予選では通用してもワールドカップでは通用しないのです。それが歴然となりました。

 

そこで岡田監督が選んだのが、松井であり本田だったのです。二人とも競争の激しい欧州での経験を積んでおり、他選手に比べて個の力が、そして個性が強いことが特徴です。これまでの組織力重視のチームでは、脇に追いやられていた選手です。彼ら活躍なくして、カメルーン戦勝利はなかったでしょう。直前合宿でその選択をした岡田監督の判断力も大したものです。

 

 

さて、この一連の動きは、日本企業の戦い方の縮図とも言えそうです。国内市場が中途半端に大きいため、得意の組織での戦い方でも十分勝ってこられました。しかし、国内市場が縮小する中で否応なく海外市場に打って出る必要があります。そこでは、従来の組織力だけは通用しないはずです。かといって、いきなり「個」で勝負するシステムに転換し、しかも勝てるはずもありません。

やはり、強みである組織力をベースにして、そこに強い個の力をも活かすハイブリッド型の組織体にならなければ、世界では勝てないのです。

 

個の力と組織の力の融合。これができるのは、世界広しといえども日本だけかもしれません。小さな光明を見た、初勝利でした。

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このページは、福澤が2010年6月15日 10:56に書いたブログ記事です。

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