日本企業が海外、特にアジアで優秀な現地人社員を確保、リテインできないとの話をしばしば聞きます。数年前までは、アジアの拠点は主に生産拠点でした。ところが、特にリーマンショック以降は、国内や欧米のシュリンクに伴い、相対的に販売や開発拠点としての位置づけが強化されているようです。
人材の面から見れば、これまではブルーカラーの採用とリテインを考えていればよかった。そこでのポイントは給料でしょう。中国の工場でホンダが苦しんでいるのもそれです。
一方、これからはホワイトカラーの採用とリテインが重要になります。そこでのポイントは、能力開発と公平性だと考えます。もちろん給料は高いに越したことはありませんが、その重要性はブルーカラーに比べれば低いでしょう。それ以上に大切なのは、日本人社員(在日本含め)と同等の扱いを受けられ、成長できるかどうかです。扱いとは、突き詰めれば昇進でしょうが、その前段階としての教育機会に着目すべきと考えます。
アジア諸国では、幸い?まだ日本企業のステータスは高いそうです。優秀な若者には、日本語を学び日本留学する人がまだまだたくさんいます。そういう人々をいち早く獲得し育成することが、日本企業のグローバル戦略の基盤になるのではないでしょうか。
でも、急がないと、「日本」の神通力もいつまで持つかわかりません。韓国のサムソンが、20年以上前から若手社員を世界中の国々(貧困国含め)に駐在させ続けていることが、現在の地位に貢献していることは明らかです。
日本人を海外に出すこととともに、優秀なローカルスタッフの日本化も大切だと思います。日本的経営、日本的人材開発のエッセンスを、正々堂々と海外で啓蒙していくべきです。もちろん、変えるべきところは変える必要があります。
かつて、アメリカ型経営が、グローバルスタンダードだと思われたように、アジアにおいては日本的経営がアジアスタンダードになってもおかしくはないでしょう。さもなくば、中国型経営がその地位を占めるかもしれません。
いずれにしろ、内弁慶にならず、自信をもってアジア諸国に関与すべきです。時間は、もうあまりありません。
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