4月からNHK教育TV日曜18時から放送されている 「ハーバード 白熱教室」。きっと、毎回ご覧になっている方は多いことでしょう。私は、まだ第二回と昨日の第七回しかみていませんが、その他の回は録画してあります。この番組は、いろいろな意味で画期的なプログラムです。
まずは、ハーバード大学の講座がフルで史上初めて一般公開されたことです。しかも超人気講座(サンデル教授の『Justice』)を無料で。電子ブックの普及を間近に控えた日本では、コンテンツの価値をどう考えたらいいのかという議論に、一石を投じることにもなりそうです。なにしろ、世界第一級のコンテンツが、何の制約もなくただで入手できるのですから。広告なんて、意味をなしません。考えてみれば、すごいことです。
それ以上に、日本社会にとって大きなインパクトを与えると思うのは、超一流教授のクラスでのパフォーマンスを、誰もが知ることができたことです。言わずもがなですが、一方通行の退屈なレクチャーではありません。
いくつかの学生が関心を持ちやすい事例(昨日であれば、「殺人鬼に追われている友人があなたの家に逃げ込んできた。そして、殺人鬼が来て『そ
こにいるだろ?」とあなたに尋ねた。そこで、嘘をついてはいけないのか?』)を使って、学生に問いかけ、意見を言わせ、学生同士による対立シーンを仕立てるわけです。それを、転がせていき、最終的に教授のメッセージに彼らを到達させる。それを、楽しませながら行う、その技術は本当に大したものです。「正義」という大変難しい科目にも関わらず、人気講座であることがよくわかります。いや、一般に難しいとされている科目をわかりやすく教えているから、人気があるのでしょう。例の井上ひさしさんの「難しいことをやさしく・・・」ですね。それの実例を、この眼で確認できるわけです。(きっと、今頃日本の大学の一部の教員は焦っているかもしれません。)
これまで、大学にしろ企業研修にしろ、講師の実力を客観的に測る術があまりありませんでした。自分の知っている範囲の中でしか、講師の評価ができなかったのです。何しろ実際に見てみなければわからないのですが、そうそう機会も多くはありません。
しかし、これからは「ハーバード 白熱教室」のようなロールモデルが公開されることによって、講師を選ぶ眼力も飛躍的に高まることでしょう。これは、学ぶ側にとってはとても好ましいことです。一方、教える側は大変です。
これは、日本のどちらかといえば情報閉鎖的だった教育業界(もちろん企業内教育も)に風穴を開けるようなインパクトをもたらすかもしれません。もし、ご覧になっていない方がいれば、ぜひ一度はご覧になることをお勧めします。
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