雨の夜に・・・:組織開発と女優からのお礼状

昨晩、日本CHO協会主催セミナーで「日本企業における組織開発の意味とHRD部門の役割」という題で講演をさせていただきました(資料は近日中にHPにアップします)。組織開発は、ずっと以前から持ち越してきた宿題のようなテーマです。その思いが強すぎたのか、限られた時間の中でいろいろ言いたいことを詰め込み過ぎてしまい、やや消化不良になってしまったように感じ反省しきりです。これを体験学習し、また進化させていきたいと思います。

 

そのようなもやもや感を抱え、帰りの道すがら地元の焼鳥屋の暖簾をくぐりました。向こうの席では、妙齢の女性(おばさん?)二人が異性問題で盛り上がっています。カウンタ席の隣では、こざっぱりスーツを着た若いビジネスマンが二人で飲んでいました。入社2年目と4年目くらいでしょうか。聞くとはなしに聞いていると、二人は銀行員で、先輩が後輩の相談に乗っているという構図のようです。「わからなことがあったら、勝手に判断しないで相談しろよ。」「そうは思ったんですけど、いつまでも聞いてばかりいるわけにはいかないですし・・。」「そりゃあ、そうだよ。でも・・・。」という感じの会話です。かつての自分ともダブりました。

 

仕事が終わってからも飲みながら、こうして職場の話題で対話を続けているのが伝統的な日本企業の社員なのです。そこで、後輩は先輩からいろいろ学ぶことでしょう。また、先輩は話しながら自分のこれまでの経験を整理し、自らも学んでいるはずです。そんなことが、至る所で延々と繰り返されてきたのです。「自己組織化」なんて難しい言葉を使わないでも、りっぱな組織開発が自発的に行われているのです。たいしたもんです。こういう雰囲気を、絶対失ってはいけないでしょう。(かつて若手の頃は避けていた自分が言うのもなんですが・・)

 

そういう飲みが最近減ってきているという話も聞きますが、そんな懐かしい光景を目の当たりして、少し元気が出てきました。

 

 

そして帰宅すると、一枚の見慣れない方からの葉書が届いていました。それは、先月観た一人芝居を演じた女優さん(加藤忍さん)からの手書きの礼状でした。彼女は、私が好きな加藤健一事務所の養成塾出身で、加藤健一事務所の公演にも何度も主演級で出演しています。数ヶ月前の加藤健一事務所の公演のとき、劇場入り口で彼女がチラシを配っていました。ぎこちない配り方です。そのチラシは、彼女が初めて自分でプロデュースし主演する一人芝居(「花いちもんめ」)のチラシでした。その後、すっかり忘れていたのですが、偶然オフィスのすぐ近くの小劇場で、その一人芝居が公演されることを知り、観にいったのです。

加藤忍.jpg 

正直言って、想像以上の出来でした。普段アンケートはあまり書かないのですが、その日は正直な感想を書きました。それらを見て、彼女はひとりひとりに手書きでお礼状を書いているのでしょう。初めて自分の力で自分の公演をプロデュースし、成功を収めた。それは並大抵のことではなかったでしょう。苦労が大きかっただけに、喜びも大きく、そして感謝の気持ちも抑えがたく、お礼状を出さざるを得なくなったのでしょう。決して、次回公演のための営業活動とは感じませんでした。別に私だけに書いているはずもありませんが、小さな幸せをもらったような感じです。たまには雨の夜もいいものですね。

 

 

おまけ:上の写真は加藤忍さんのブログから転載しました。赤提灯にやきとり「戎」とあります。この店、実は私が時々行く店です。昨晩は別の店でしたが。なんという偶然!!

 

 

 

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このページは、福澤が2010年5月12日 11:10に書いたブログ記事です。

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