田中耕一さんの弁:事業仕分けと研究者のコミュニケーション能力

事業仕分けには様々な評価があるようですが、ひとつ良かったのは、官僚や研究者はコミュニケーション能力が低いことを、白日の下にさらしたことだと思います。

 

両者の共通点は、高い専門性に加え限定された社会との接点しか持たないことかもしれません。当人たちは、そのことをどう捉えているのだろうかと疑問に思っていたのですが、今朝の朝日新聞でノーベル賞受賞者の田中耕一さんが、こう語っていました。

田中耕一.jpg 

研究者にとっては、自らの研究の重要性や必要性を説明する能力が求められることになるが、それは好ましい変化だ。国のお金を預かって研究する以上、説明責任があるのは当然だ。私自身、ひと前でしゃべるのが苦手な人間だったが、今は自分が何をやっているかを説明することがやりがいにつながると考えている。ただ、研究者や技術者が、蓮舫さんのような説明能力の高い人に攻められると困っちゃう。もう少し準備や練習が必要だろう。

 

いやー、至極まっとうなご意見と思いました。これまで、説明しないでどうやって予算を獲得していたのだろうかという疑問は残りますが・・。

 

 

アカウンタビリティーだの説明責任など、いろいろな場面で耳にしますが、ようは、今回の事業仕分けのように、その道以外の人に適切に伝え、理解してもらうということでしょう。

 

民主党のお陰で、今回は官僚と研究者の説明能力が露呈しましたが、一般企業の中でも、五十歩百歩のような気がしないでもありません。井上ひさしさんの言葉の正反対に、「やさしいことを難しく」することによって、自分の付加価値を高めている(と思いこんでいる)人が、まだまだ数多く存在します。

 

透明で公平な社会を造るには、コミュニケーションのトレーニングは、必要な社会コストであるはずです。 

 

そういう意味では、事業仕分けは時代を動かす、ひとつのきっかけになるのかもしれません。長い目で見れば、経費削減効果(たかが知れているそうですが)よりもはるかに大きな成果だと思います。

 

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このページは、福澤が2010年5月 7日 17:26に書いたブログ記事です。

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