社外研修の意義

社内研修とは、会社の人材開発部門などが企画し主催する研修に、社員が参加するものです。当たり前ですね。また、社外研修とは、外部の教育機関などが企画・主催する研修に、複数の企業の社員が一緒に参加するものです。

 

両者の使いわけは、どのようになされているのでしょうか?普通に考えれば、自社固有の内容のプログラムは、自社でしか企画できません。他では使用できないスキル(スキル以外もあるでしょうが)、つまりUnportable skillの研修です。あるいは、組織開発を主目的とする研修です。いうまでもなく、自社組織の開発は、自社内でしかできません。

 

しかし、もしPortable skillの獲得を主目的にするならば、自社内にこだわる必要はありません。多くの企業で共通するスキルですから。このような、Portable skillはビジネスパーソン、あるいは特定職種における基盤能力です。

 

社外研修に送り出す、積極的意味もあります。社外の人と、ともに学ぶこと、すなわち他流試合の効用です。

 

ひとつは、自己再認識のきっかけです。メンタルモデル(認識の枠組み)は、環境に影響を受けます。異なる環境にある他社の人との交流は、自分のメンタルモデルに疑問を挟むことになるかもしれません。他者を鏡にして、あらためて自分自身を顧みるきっかけになるでしょう。さらに、異なる視点を獲得することもできるかもしれません。

 

二つ目に、ネットワークづくりです。何かあったときに相談できる人を、社外にたくさん持つことは、それだけで財産です。

 

三つ目は、エネルギーの獲得です。異文化(ちょっと大げさですが)との接触は、少なからず摩擦を生みます。それがストレスになる可能性もある一方で、そこから刺激やエネルギーを受け取ることも多いでしょう。海外旅行も同じですね。かなり高い確率で、エネルギーを獲得することが多い実感があります。

 

このように、社外研修への参加は、社員の自立性を高める効果があることは間違いありません。

 

社員の自立性を求める企業は、決して少なくありません。もう会社には頼るなと。であるならば、ただ突き放すのではなく、社員のPortable skill開発を積極的に支援すべきです。必ず、そのスキルは会社の成果にもつながります。

 

そして、それは社外研修でなされることが好ましいでしょう。その受け皿となる教育機関の責任は、重くなりそうです。

 

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このページは、福澤が2010年5月20日 20:07に書いたブログ記事です。

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