iPadとキンドル:新たな生態系

いよいよアップルのiPadがアメリカで発売されました。これまでキンドルを中心としてきた電子書籍市場は、どう変わっていくのでしょうか。

 

新たな市場を開発するには、プラットフォームの確立がポイントになります。今朝の日経にこんな記事がありました。

 

電子書籍の拡販を狙うアマゾンはiPadでキンドルの電子書籍を読むためのソフトを無料配布している。パソコンと連携し、購入した電子書籍を途中から別の機器で読むことも可能だ。

 一方、iブックス対応の電子書籍はiPad専用。iPad購入者の大半は映画やゲームに使い、書籍を主用途とみていないためで、アップルはiPadへのアマゾンのソフトの搭載を認めるが、それもあくまでiPadの販売を上乗せするのが目的だ。

 

 

iPadでは、アマゾンのキンドルで購入したコンテンツ(電子書籍)が読めるが、キンドルではアップルのiBookで購入したコンテンツは読めないということになります。つまり、アップルはハードとしてのiPadを魅力的にすることを最優先し、コンテンツ販売はその手段とみなしている。一方、アマゾンは、ハードとしてのキンドルより、電子書籍コンテンツ販売を最優先しているとみることができそうです。双方のオリジンを考えれば、当然ともいえる棲み分けとなりそうです。

 

かつてのデファクト競争のような、排他的動きはしていません。アップルとアマゾンが、それぞれの強みを活かしながら、連動して電子書籍市場を開発していくという構図です。現在は、両社がリードして電子書籍の生態系づくりが始まったところといえるでしょう。

 

そうなると、関連する他のプレイヤーがどう関わっていくかが気になるところですね。まず、出版社、書店、そしてメディア業界。あと肝心なのは、著者の関わりです。

 

キンドルでは、印税7割でコンテンツが販売できるそうです。知名度の高い著者にとって、出版社は不要になるかもしれません。個人で編集者や校正担当を雇い、ネットで販売すればよくなるのですから。

 

しかし、本当の編集機能や目利き機能は、コンテンツが増えれば増えるほど必要性が高まります。それは、現在乱立する書評ブログ/サイトとは別の形態になるような気がします。では、どんな形になるのでしょうか?

 

いずれにしろ、新しい生態系が発生し進化を遂げるプロセスに立ち合えることは、素晴らしいことです。これからが楽しみです。

 

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このページは、福澤が2010年4月 5日 12:55に書いたブログ記事です。

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