フォワード選手とディフェンス選手へのコーチング

今朝の朝日新聞に載っていたサッカー岡田代表監督と福岡伸一氏の対談が面白かったです。

 

福岡氏には「動的平衡」という著書がありますが、岡田監督はその概念をチームづくりの参考にしようとしているようです。

 

岡田監督がこんなことを話しています。

岡田監督.jpg 

フォワード選手がシュートすべき場面で、パスしてしまったとする。かつては、試合後そのビデオを見せながら、ここではシュートすべきだと指導していた。すると、その選手は後の試合で、ここはパスかシュートか迷ってしまった。同じ場面は二度とないのだから。今では、同じようなことが起きても、ミーティングで見せるビデオ作りを工夫している。過去パスで成功した映像をたくさん集め、その中に一つだけシュートして成功したシーンを混ぜておく。そして、他の選手にも聞こえるように、「今のは、いいシュートだった」という。

 

一方、守備の選手への対応はちょっと違う。防御は、ある程度がロジックだ。そうすべき理由を丁寧に説明する。

 

 

うろ覚えですが、こんな内容でした。攻撃と守備で対応が違うのも、言われてみれば確かにそうです。主導権が自分にある場合、必要なのは定石云々よりも、一瞬のひらめきでしょう。先手を取れるわけですから、そのアドバンテージを最大限利用すべきです。だから、迷わせるような指導はいけないのです。より重要なのは、定石を知っているかどうかよりも、判断スピードです。

 

それに対して、守備は後手です。不確実性が高い守りでは、できるだけリスクを最小化しなければなりません。そのためには、定石、ロジックに従うことが、もっとも失敗確率を小さくするのです。

 

あと、ビデオの使い方も面白いですね。多くのパスシーンにシュートシーンを挟み込む。選手は、パスする自分を見て満足しながらも、「シュートも悪くないかも」と気づく。そのちょっとした自信が、潜在意識にインプットされ、迷うことなく無意識のうちにシュートするかもしれません。フォワードには、指導より「気づき」のほうが有効なのでしょう。

 

これは会社でも同じです。銀行業務のようなリスク回避型の仕事では、ルールの徹底とロジックの理解が大切です。よって、指導が必要。一方、創造性を重視する仕事では、どんなに「創造せよ」と指導しても無意味です。本人の気づきを促す、場を整備することしかできません。その使い分けこそが、マネジメントだと思います。

 

生命科学を踏まえたサッカー日本代表チームができあがったら、結構ワールドカップで暴れるかもしれません。

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このページは、福澤が2010年1月29日 11:01に書いたブログ記事です。

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