つい最近、ある友人がアメリカでIBMのマーケティング部門トップとお話しする機会があったそうです。そのトップは、広報出身者でした。一般的には、広告・宣伝や営業で実績を上げた方が、トップになることが多いのですが、あえて広報出身。友人がそのことを尋ねると、そこにIBMの経営スタンスが表れているとのことだったそうです。
従来は、製品やサービスの機能やブランドイメージを顧客に伝え購入する気にさせる、その仕掛けを考えるのがマーケティングだったはずです。
ところが、現在ではIBMという企業そのものを顧客や社会へ伝えることが、最大のマーケティングだと考えているようです。
製品・サービスもブランドも企業活動の結果にしか過ぎません。結果は、調べれば誰でもわかります。大事なのは、結果を生みだす原因のほうなのです。どんなに美しい製品を販売していても、それを生みだす企業がBlackだとしたら、いずれその製品の化けの皮が剥がれるといことを、一般消費者が気づいてしまっているのでしょう。
つまり、顧客にとっては、「何を売っているの?」よりも「あなたは何者なんですか?」の方が、大切な問いとなっているというわけです。
これは、化粧で飾れず、素顔で勝負しなければならないということです。素顔を美しく保ち、かつ素顔をできるだけたくさん見てもらう活動がマーケティングだと解釈できます。
販促ツールの一つとして、地球環境保護活動を訴えるような活動ではだめです。エコという化粧に過ぎないことは、簡単に情報収集できる現代においては、すぐにばれます。逆効果でしょう。
企業そのもの、ひいては社員ひとりひとりが顧客にさらされているということなのです。企業が社会的存在であるのであれば、それも自然なことに思えます。社会にとって好ましい経営思想や哲学を持つ企業が生き残っていくという、適切な淘汰が始まりつつあるのかもしれません。
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