童話:ある島国の人材育成

むかしむかし、あるところに、小さな島国がありました。島国ゆえか、他の大きな国とは少し異なる社会を作っていました。人々は、家族的な会社のもとで成長しました。貧富の差も小さく、平和にくらしていたのです。もちろん、それが不公平だと不満を持つ人々もいましたが、概してうまくいき、大きな国から恐れられるほどになりました。

 

 

それが頂点に達したのがバブル期と呼ばれる時代です。およそ品物があれば、それほど手間や知恵を使わなくても売れました。供給を切れさせないことのほうが、販売よりも重要だったそうです。これでは、人を育てる必要もありません。

 

そしてバブル崩壊。一転してモノが売れなくなりました。そこで、成果主義という大きな国由来の舶来ツールを活用することにしました。ノルマを課し、達成しなければ昇給も昇格も望めないという厳しいものです。

 

その成果はどうだったでしょうか?

 

短期的には、売上も上がったそうです。しかし、中長期的には職場が荒れました。つまり、「プレイングマネジャー」という舶来の呼称で後押しされた管理職が、自分の成果を上げることに汲々となり、部下を育てることにエネルギーが避けなくなってしまいました。

 

そこで、次に会社が行ったのは、上司に負担をかけずに部下の成果を上げる方法です。「ハイポ」(パイポではありません)や「コンピテンシー」という、またまた舶来の概念を導入しました。高い成績を上げている社員の行動パターンを、真似するように教育しだしたのです。

 

その結果は?

 

またまた、職場は混乱しました。人によって、自分にあうスタイルというものがあります。それが、否定され失われてしまったのです。

 

次に手がけたのは、「チーム」とか「タレントマネジメント」というまたまたは舶来の概念でした。でも、よく考えてみれば、もともとその国の会社の多くは「チーム」で仕事をし、社員ひとりひとりの成長を見守ってきていたのです。

 

 

なーんだ、一回転してまた昔に戻ってきたのか。でも、今はもうチームを支える風土も、ひとりひとりを見守る余裕もなくなってしまっていたのです。結局、また大きな国から、魔法の杖のようなものを探してこなければならないようです。

 

 

めでたし、めでたし。

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