学習にとって、他者からのフィードバックはとても大切です。自分自身のことは、なかなかわからないものなので、他者からの指摘がありがたいのです。
しかし、いちいち自分へのフィードバックを待っていても、そうそうもらえるものではありません。自分のことを気にかけてくれる人ばかりではありませんから。
そこで、「人の振り見て我が振り直せ」となるわけです。
集合研修と、eL等の個人学習の最大の違いはそこにあります。個人学習では、自分の考えしか存在しません。つまり、「人の振り」がないのです。
集合研修では、自分と異なる他受講者の意見を聞くことができます。そこには、自分が気づきもしなかった視点があることも珍しくありません。たとえ自分の考えの方が正しかったとしても、典型的な誤った考え方を知るも意味があります。多くの人がそう考えてしまうということを知っておくこと自体、今後コミュニケーションや、あるいはアドバイスする立場になった時に有益なのです。
研修で、グループ発表を行うことも多いですが、「中途半端で未熟な発表をいくつも聞いても時間の無駄だ、最初から講師が解説したほうが効率的だ」との意見もなくはないです。しかし、最初から正解を提示されても、ほとんど身に付かないのが実態です。自分自身が間違いを指摘され正される経験や、他の人が指摘を受ける様子をたくさん見る、「人の振りを見る」プロセスが非常に大切なのです。
言い方を変えれば、「人の振り」と「我が振り」を関連づける能力が高い人は、学習能力が高いといえるでしょう。あらゆる情報を、常に自分の問題解決に役立つかどうかという観点で接する。それが学習を促すのです。
本を読むという行為も、著者の「(思考の)振り」を見て、自分と関連づけ、自分の振りを見直すという意味では、同じですね。石ころまでも先生なのです。
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