常にコミュニケーション能力は、組織課題の上位にあがってきます。つまり、研修の人気テーマでもあるわけです。
しかし、研修を企画する方に、御社のコミュニケーション上の課題は何ですか?と質問しても、的確な回答が返ってくることは、それほど多くはありません。そもそも、そこで問題としているコミュニケーションとは、何を指すのかも曖昧です。
仮に、コミュニケーションが問題だったとして、
・ 良好なコミュニケーションが図れる組織とは、具体的にどのような組織か?
・ 個人の能力に原因があるのか?それとも組織に原因があるのか?
・ 個人に原因があるとして、それはどういう集団にあるのか?例えば、若手に原因があるのか、それとも管理職にあるのか?
・ 個人のコミュニケーション能力が欠如しているとして、具体的に、どのような行動、または思考が欠如しているのか?(つまり、コミュニケーション能力は、どのような要素で構成されていると考えるのか?)
・ 組織に原因があるとして、それが起きている理由は何か?背景にあるものは?
・ それらの理由のうち、手を打てることは何か?それはなぜか?
などなど、疑問はどんどん膨らみます。そういった疑問も持たないまま、何となくコミュニケーション能力開発研修を企画してしまうこともあるようです。コミュニケーション能力という、だれもが疑問を挟まなそうなBig wordが、思考を停止させるのです。
このように、何となく最近コミュニケーションが悪い気がする、というくらいの認識で研修を企画し実施したところで、その場は盛り上がるかもしれませんが、職場に帰れば、何事もなかったかのように研修前と同じように振舞うことでしょう。
企画者自身が、徹底的に「考える」ことができなければ、できあいのパッケージプログラムを販売する研修ベンダー(あるいは講師)を喜ばせるだけなのです。易きに流れず、問題の本質を徹底的に追求する癖をつけたいものです。(それを「知的強靭さ」といいます。)
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