人間を理解するためのフレームワーク

前回、齢を取り賢くなることとは、自分自身を知るようになることだ、と書きました。自分を知るということは、裏を返せば他者も理解できるようになることだと思います。

 

 

よく、「相手の立場になって考えよう」とか、「相手がどういう人なのか理解しよう」といいます。コミュニケーションの基本中の基本です。特にマネジメントの仕事をする際には、重要です。

 

 

しかし、仮に相手の立場に立って考えたとしても、その人と同じように考えることができるでしょうか。立場が共通であれば、同じように考えられることも多少はあるかもしれません。でも、現実には、多くはたとえ立場が同じでも、異なる考えをするのが人間なのではないでしょうか。

 

それから、「相手がどういう人なのか」は、どのように認識できるのでしょうか。たまたま、その人が信号無視したところを目撃したからといって、「あの人はルールを守らない人だ」と認識していいものなのでしょうか。

 

つまり、他者を認識する際、ある断片だけを捉えて、拡大解釈、あるいは曲解することが非常に多い気がするのです。

 

もちろん、非常に長い時間を一緒に過ごせば、かなり深く理解できる可能性はあります。しかし、だからといって、同じ職場にいる程度であれば、難しいと思います。

 

そもそも、ある人間を正しく認識するとは、あまりに抽象的です。いい人か悪い人か、

親切か不親切か、仕事が早いか遅いか、など、切り口は無数にあります。きっと、状況に応じて、便利な切り口を拾い出すのでしょう。そして、その印象は、他の場面にも適用される可能性もあります。イメージが固定化されてしまうので。

 

 

そうなると、やはり人間を理解する上でのフレームワーク、というかパターンのようなものが欲しくなります。できるだけバランスの取れた、科学的に信頼性が証明されている指標のようなもの。

 

日本で、最も使われる指標は、血液型に違いありません。「あなたは何型ですか?」と聞けば、何となく相手を理解できた気がしますし、共通の話題としても適当です。ただ、科学的根拠は全くないそうです。

 

同質を前提としていた過去のマネジメントでは、人間理解のフレームワークなんて、そもそも必要なかったのでしょう。しかし、近年急速に状況は変わりつつあります。

 

多様性のマネジメントの重要性が叫ばれる昨今、自分を知り他者を知る共通言語となる指標のニーズが、今後さらに高まる気がします。それが、自分の成長に、さらに他者とのコミュニケーションに大きな役割を果たすと思います。

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このページは、福澤が2009年8月13日 14:55に書いたブログ記事です。

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