「気づき」って何?:気づきのメカニズム

十数年前、社会人向け教育にたずさわるようになって、盛んに耳にするにもかかわらず、いまいち理解できなかった言葉が「気づき」でした。

 

気づきは、英語に訳すと何なんだろうと、ずっと疑問でした。Noticeではないでしょう。先日、ある方からDiscoveryではないかと教えていただきました。

 

「発見」のニュアンス、なるほどと思いました。この場合、発見する先は外ではなく内面です。内面に本来あった何かを、あるきっかけで自ら発見するわけです。大事なのは、他者から指摘されて気づく(notice)ことではなく、あくまで自分自身で発見することです。

 

子供に対して、気づきという言葉があまり使われないのは、子供はまだ内面に発見すべき何かを、あまり持っていないからかもしれません。

 

一方、経験を積んだ社会人は、内面に多くの知識や経験の引き出しを持っています。何かのきっかで、そのうちのいくつかと外部からもたらされた新たな知識がくっついて、「なるほど!」となるのでしょう。

 

 

「なるほど」も面白い言葉です。将棋で、歩が金に「成る」といいますが、昔から持っていたそれほど役に立たない知識が、外部刺激や新たな知識との結合によって、「歩」から「金」になるプロセスが「成程」なのかもしれません。

 

そう考えると、適切な「気づき」をたくさん得るには、

        できるだけ経験に基づく多くの知識を保有する(記憶していなくても)

        できるだけ多くの外部刺激に接する

        先入観にこだわらず、一見関係なさそうに見えるものともの(こととこと)に、関連性を見つけたがる

 

といったことが必要そうです。

 

つまり、思いこみを廃し、柔らかい感性で、好奇心を持ち続けるということでしょうか。

 

 

ビジネスパーソンを対象とする企業研修で目指すのは、気づきの機会を提供することです。知識の提供ではありません。受講者の「気づきのメカニズム」を起動させることが、良い研修と言えそうです。

 

ただ、気づきは、研修の場で得られることはまれで、何か変な「ひっかかり」のようなものを持ち帰ることが一般的かもしれません。

 

それが発言としては、「なんか考えさせられた・・・。」と表現されます。「ひっかかり」が「気づき」となり、「成程」になるのは、やはり現場においてでしょう。

 

それを前提に、研修の企画は考えられるべきだと思います。

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このページは、福澤が2009年7月28日 10:19に書いたブログ記事です。

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