「集合知」実現のためのフォーマット

最近、「集合知」という言葉をよく耳にします。多くの人々の持っている「知」を集合して、価値をうみだしていくことを表しているのだと思います。2005年頃のWeb2.0ブームあたりから、とみに露出が増えたようです。SNSなど人をつなぐシステムの普及が拍車をかけました。

 

ヒトをつなげば「知」がうまれると、ナイーブに考えるのは無理があるでしょう。

 

 

「賢い人」は、情報や知識、経験が豊富なことは間違いありませんが、それは必要条件にしかすぎません。「物識り」は世の中にたくさんいますが、その多くは、単なる物識りにとどまっています。

 

賢い人は、保有している豊富な情報群のなかから、適切なものをいくつか瞬時に引っ張りだし、それらを組み合わせてアウトプットします。組み合わせパターンや、アウトプットの表現も、その「場」に合わせることが巧みです。

 

これは、一人の脳の中で起きている作用で、それを複数の脳で行うことが「集合知」なのだと思います。その実現のためには、適切な「場」とともに、一人一人がそれに対応できる「フォーマット」を身につける必要があります。

 

 

異業種勉強会やパーティーなどに参加することは、集合知実現のきっかけになりえるでしょう。しかし、そこでうまく立ち回れる人とそうでない人がいますが、その差は何なんでしょうか。社交性といった、単純なことではなさそうです。

 

システム開発の世界に、「Self-describing Digital Object」という考え方があるそうです。

 

        Self-describing:この人は「ナニモノ」か、が一目瞭然。他者が関心を抱く何か、を持っていることが伝わりやすい。かつては、所属企業名の入った名刺が、そのためのツールだったが、現在ならブログや著作か?

        Digital:他者とのインターフェースを持っている。コミュニケーションスキルや合理的思考、マナー、礼儀、場の空気を読むこと、豊富な話題など、ひとことで言えば共通言語、共通思考ツールを持っている。また、多少使用言語が異なっても、それを的確に変換(翻訳)できる

        Object:アウトプット志向で、常にいくつかの目的をもって人々と接する

 

こういう基本フォーマットを備えた多様な個が、適切な「場」に集合すると、集合知が生まれやすいのだと考えます。

 

 

言うは易しで、なかなかそうはできませんが。

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このページは、福澤が2009年7月27日 10:33に書いたブログ記事です。

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