ある企業の没落

それまで優良だった企業が没落するのは、どのような理由によるのでしょうか。

 

 

今年初めに倒産した、歴史ある大会社の元COOから直接聞いた話です。

 

仮にT社としておきましょう。T社は、三代続けての社員もいる技術に優れた伝統あるシステム関連企業でした。家族的でおっとりした社風だったといいます。

 

2000年頃、ITバブルで株価が高騰したころ変化が起こります。技術面でも支援していた親会社が、T社の株を高値で売ることにしました。そろそろ独り立ちしなさい、というわけです。

 

経営者は、一般の株主を意識せざるを得なくなり、成長に舵を切りました。そして、次々とベンチャー系企業の買収を進めました。

 

しかし、おっとりしたT社と買収した企業の融合は難しく、被買収企業の経営陣は次々と会社を離れてしまいました。そして、結局それらの会社も安く手放すことになってしまいます。

 

ただ、経営陣にひとつの遺産を置いていきました。それは、もっと貪欲に成長し続けなければいけないという意識です。確かに、周囲の競合企業を見れば、以前と違って生産はアウトソーサーに委託したりなど、最新の経営システムを導入しています。それにならって、T社も当時グローバルスタンダードと言われた様々な経営手法を、次々と導入していったのです。

 

借り物の経営手法が、古い企業体質を残すT社で、活かされるはずもなく、社内は混乱します。その結果、打つ手打つ手が次々に裏目に出て、とうとう今年初めに倒産となってしまったのです。

 

 

今、元COOは、振りかえります。今でも、技術ではどんな会社にも負けない。なんで、こんなことになってしまったのかと。

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このページは、福澤が2009年7月16日 14:34に書いたブログ記事です。

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