昨日たまたま聞いていたFM番組で、松尾貴史さんがこう言っていました。
「よく、『頑張ってね』と言われるが、もっと頑張んなきゃいけないのか、と思って疲れてしまう。」
この率直な言葉に、私はひっかかりました。もちろん、言う方は単に励ますだけの意味で言っていることくらい誰でもわかります。でも、ひっかかるのです。
「頑張れ」の言葉の背景には、「今より一歩でも上を目指せ。そうすれば、きっといいことが待っているよ」という楽観論があるように思えます。頑張れば、今日より明日は必ず良くなる。
こういう、ある意味、競争に基づく成長を促進するようなパラダイムに、松尾さんを初め多くの方が疑問を持ち始めているのではないでしょうか。
派遣切りやフリーター問題は、他人ごとがと思っている人も多いかもしれませんが、今朝の日経朝刊の記事にあった、日経平均株価への投資の記事を読むと、そうも言っていられないという気になります。
ドルコスト平均法(定期的に一定金額を投資する手法)で、日経平均指数を大学卒業後買い続けたとして、今どれだけ儲かっているかを、年齢ごとに計算したものです。それによると、現在60歳の人でやっとわずかなプラス。それより若い人は全員含み損を抱えています。最悪なのは、45歳。たしか37%くらいのマイナスでした。
これが意味するのは、こと株式市場に限定すれば、今日より明日が必ず幸せという神話が崩壊しているという事実です。
頑張っても、良くはならない。そう思っている人が、年金や社会保険に粛々とお金を支払続けるでしょうか。安心がなければ、どれだけ金融資産をたくさん持っていたとしても、決して豊かとは感じないでしょう。そこに政府の役割があるはずです。
頑張らなくても、安心して豊かさを感じられる国、日本がそうなるといいですね。
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