先週の金曜、東大中原淳准教授が主宰する恒例のLearning barに参加しました。テーマは、ずばり「リーダーシップ開発」です。
神戸大学の伊達さんのプレゼンを聞いていて、共感することが多くありました。企業研修の分野でも、リーダーシップ開発はとてもメジャーなテーマで、ニーズも大きい。にも関わらず、これだ!といった開発方法論も確立されていませんし、そもそもリーダーシップ開発なんてできるの?という疑問が常に付きまといます。
ニーズは大きくかつ誰もが何でも言えるので、魑魅魍魎が跋扈する世界でもあります。正直、私はあまり近づきたくはない領域です。
そこを、伊達さんは、若手研究者ゆえ大胆にも「リーダーシップはロマンス(妄想?)に過ぎない」と言い切ったのです。
その話を聞いていて、青山二郎が言った言葉を思い出しました。
「美なんてものはない。ただ、美しい物があるだけだ。」
それと同様に、りーダーシップなんてものはなく、ただそこでの「リーダー」がいるだけではないでしょうか。集団には必ずリーダーが生まれてきます。それらのリーダーの共通項を抽出し、それをリーダーシップとして概念化したところで、実践で活用できるとは思えません。百人のリーダーがいれば百のリーダーシップスタイルがあるというのが私の実感です。
ただ、似た様な時代背景や業界・業務特性、ライフステージ、企業文化、そして個人の性格などによって、リーダー像の共通項を抽出し、参考にすることは多少有益かもかもしれません。(すごく難しそうですが・・・。)また、自社にとっての好ましいリーダー像を、自ら定義することも意味があるはずです。
そしてその上で、そのようなリーダーが輩出されるように組織環境を整えることはできるでしょう。それは、決して「りーダーシップトレーニング」や「選抜者へのコーチング」などではないと思います。環境を整えもせず、リーダーが生まれてこない理由をトレーニング不足や上司の力不足に求めるのは、経営者の責任回避ではないでしょうか。リーダーを育てるのは、トップリーダーでしかありえないのです。
そんなことを考えさせられた、とても有意義な会でした。
(注:上の伊達さんの写真は、中原さんのブログhttp://www.nakahara-lab.net/blog/2009/06/learning_bar_23.htmlから転載しました。)
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