嫉妬心と強い組織

集団があれば、そこに必ず嫉妬は生まれます。それが人間というものでしょう。では、それをどうマネージするのか。

 

 

無名塾を主宰する俳優仲代達也による、良いパフォーマンスを見仲代達也.jpgせる劇団は、必ず組織の中に嫉妬があるそうです。むしろ、仲間の能力の高さに嫉妬できない仲良しグループでは、良い結果が残せない。「お互い役を奪いあう敵と思え」と指導しているとのこと。

 

たしかに、仲良しグループでは厳しい外部との競争に勝っていけないでしょう。内輪での心地よさと、外部競争での勝利の両立は難しいはず。

 

嫉妬を負のエネルギーと正のエネルギーに分けるものは、いったい何でしょうか?それは、自己においては、現状を客観的に観ることができる能力であり、組織としては「礼儀」ではないかと思います。

 

安定を求め、自己を客観視できなければ、その矛先は相手に向かいます。以下、立川談志のことばです。

 

「己が努力、行動を起こさず対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬というんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。(中略)現実は事実だ。そして、現状を理解、分析してみろ。そこには、なぜそうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。」(「赤めだか」より)

 

批判的思考(クリティカル・シンキング)がそこでは大きな役割を果たすでしょう。ここで、大事なのは、批判の矛先は他者ではなく自己に向かうという点です。

 

 

次に、組織としてどう対処すべきか。仲代は、それを「礼儀」に求めます。演劇では一年先輩は神様です。でも、実力と人気があれば、その先輩を追い越すこともある。「先輩を追い越すことがあるからこそ、礼儀が大切だ」という。お先に行かせていただきます。申し訳ありません。失礼させていただきます。こういう礼儀が、他者に向けられそうになる嫉妬を和らげる。そして、他者に転嫁できなくなった嫉妬心を自分自身に向け、自己研鑽の強い動機とする。これが強い組織の秘密なのだそうです。

 

嫉妬心と批判的思考と礼儀が、強い組織の源泉だという説、私はなんとなくですが、納得できます。

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このページは、福澤が2009年6月16日 12:00に書いたブログ記事です。

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