職場の人材育成力低下が著しいという話は、そこここで聞きます。組織のフラット化、成果主義、株主重視、人材アウトソースなど、バブル崩壊後日本企業に盛んに取り入れられた経営ツールやコンセプトは、職場の育成力を低下させこそすれ、高める方に作用することはなかったので、当然と言えば当然です。
そこで、最近再び職場の育成力に注目が当たりつつあるようです。ゆとり世代が社会人になる来年以降、ますますその傾向は高まっていくことでしょう。
では、職場の育成力を高めるには、どうしたらいいのでしょうか?プレイヤーは、以下の5者です。育成される若手、育成を担うマネジャー、職場の先輩、人事部、経営層。
若手自身の意識や能力は当然として、やはり重要なのは、若手が育つ場たる「職場」の前線責任者であるマネジャーの役割が重要であることは言うまでもありません。
では、どのようなマネジャーが望まれるのでしょうか?この認識が、プレイヤーによって大きくぶれている気がします。以下は、(ステレオタイプ的)推測です。
・ 若手:わかりやすい指示、そして親切に教えてほしい。一方やる気にさせて欲しい
・ 先輩:自分達は目標達成に忙しいので、教育はマネジャーにお任せしたい
・ 人事部:強いリーダーシップで、若手を指導してやってほしい
・ 経営層:なんでもいいから早く一人前にしろ
こんな周囲の思惑の中で、マネジャーは、トレードオフに苦しみます。
短期業績目標達成 VS 長期人材育成
手取り足取り指導 VS やる気重視で任せて育てる
とにかくやらせる VS ほめて動いてもらう
マンツーマン指導 VS 職場全体で育てる
それぞれ、左右どちら側にも理はあります。だから、マネジャーは悩むのです。いっその事、皆が「鬼軍曹になれ!」と言ってくれれば、どんなに楽なことか。トレードオフをmanageするのがmanagerだろ!という声も聞こえてきそうです。
昔から「中間管理職の悲哀」という言葉はありましたが、経済全体が成長していれば、悲哀を感じつつもなんとかなったものです。仕事がどんどん増えれば、勝手に若手は育つし。
しかし、世界は変わりました。解はありませんが、少なくとも問題は単純ではなく、ますます複雑化しつつあることを、関わる全員が認識する必要はあるでしょう。
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