地方と東京の人材育成格差増大

これまで何度も書いてきましたが、この不況によって企業の教育投資が、大幅に削減されています。また、出張旅費も同様に大削減され、やむを得ない社用出張であっても、会社が交通費を負担しない企業も出てきています。

 

このような状況がどのような影響を与えるか、様々な懸念が表明されているようですが、私が問題視しているのは、地方と東京との人材育成に関する格差の増大です。

 

企業を対象とした、一定以上の品質の研修/セミナ/フォーラム等の大部分は東京で行われます。また、一流講師はほとんど東京に集中しています。これまで地方企業の方は、出張にかこつけたり、それを目的に出張し、かろうじて学習する機会を確保してきたとのだと思いますが、それがほぼ全滅になっているようなのです。

 

東京周辺のビジネスパーソンであれば、少なくとも交通費や宿泊費はほとんどかからないので、まだ受講することもできなくはないでしょう。

 

一方、企業の財布が絞られたとしても、個人の学習意欲はまだ衰えていません。逆に危機感を抱えた個人は、資格取得のための学校へ殺到しているという現象も起きています。

 

資格取得が効果的かどうかはともかく、自分の意思で学ぶ機会や学校などは、やはり東京に集中しています。地方企業のビジネスパーソンが、自己啓発的に学ぶ機会は極端に少ないのです。

 

もちろん、だからeラーニングを導入しているんだ、という企業もあるでしょう。しかし、残念ながらeラーニングは、知識の習得には効果的かもしれませんが、思考を深めたり対話を通じて知恵を生みだすという、これからの時代に求められる教育には、まだまだ力不足です。

 

このような状況を放置すれば、さらに地方企業の地盤沈下が促されることでしょう。企業や社会人教育業界、さらに企業を支える金融業界は、そのことへの問題意識をもっと持つべきだと考えます。

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このページは、福澤が2009年5月13日 17:15に書いたブログ記事です。

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