レバレッジと経験からの学び

今ではもう、レバレッジって何?という方はあまりいなくなりました。でも、それもここ5年くらいのことでしょうか

 

私がビジネススクールで学んでいた80年代末、日本企業は銀行借入への依存度が高く、高いレバレッジでした。一方米企業は、自己資本を厚くした低レバレッジ経営が多かったと思います。

 

借金はできるだけ減らすべきだと思っている学生が、借金はいいことだと納得することはそう簡単ではありませんでした。だって、目指すべき米企業は借金が少ないのに・・・。

 

ところが、バブル崩壊後、日本企業は債務圧縮に努める一方、ファンドが台頭してきた米国では、どんどんレバレッジを高めていきました。それが株主重視の経営。

 

確かにレバレッジは、1の投入資源で10の成果を得るということですから、効率的に違いありません。 レバレッジ.jpgしかし、世の中そう簡単ではなく、それに応じてリスクが高まるのです。結局、効率性とリスクのバランスをどう取るかという、判断になります。

 

レバレッジ重視は、掛け算の経営ともいえるでしょう。掛け算は、足し算より簡単に大きくなります。でも、どこか一つでもゼロになればすべてがゼロに転じてしまいます。足し算はそうではありません。

 

 

少ない大口顧客に依存するのは、高レバレッジの掛け算経営です。多くの小さい顧客ベースを抱えるのは、足し算経営です。今のような不況期には足し算経営に歩があります。そして、老舗企業は、たいてい足し算経営です。

 

人間、調子のいい時はリスクを低く見積もって、レバレッジをかけたくなるものです。そして、今のような時は、思いっきりリスクを高く見る。だから、大きな景気の波が生じるのです。人間が経営する以上、これは避けて通れないでしょう。

 

ただ、人間は経験から学ぶものです。経験と理性が精度を高めるはず。でも、組織は同じ過ちを犯します。それは、組織の意思決定者が、時間を経て変わるからではないでしょうか。そして、経験が伝承されない。

 

既に、戦争経験のある人は、日本の政治や経済、学会の中心にはほとんどいなくなっています。日本が学ばないのではなく、学んでいない人がリーダーになるシステムなのでしょう。

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このページは、福澤が2009年5月 2日 10:30に書いたブログ記事です。

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