「アートフェア東京」で思う:新しいものとは、古くならないもの

東京国際フォーラムで、今日から三日間開催される「アートフェア東京」のプレビューに、昨晩行ってきました。143の画廊やギャラリーが参加する、年に一回のビッグイベントです。

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一箇所にこれだけ集まると、壮観です。また、いろいろなタイプのアート作品が一回で見られる機会は貴重です。何しろ、現代アートが強烈な自己主張をしているブースのすぐ隣で、縄文土器や埴輪が静かに展示してあったりするわけです。

 

普通は、同じ目線では決して見比べない作品を、ここでは同じ目線で見てしまいます。一貫性がないからいやだという人もいるでしょうが、私はこの雑多感が好きです。同じ空間で展示されることにより、虚飾ではなく芸術作品の本質、つまり精神性があぶりだされ、比較される気がするのです。

アートフェア東京2007_04s.jpg 

青山二郎が、こう言っていたそうです。

「人間でも陶器でも、確かに魂は見えないところに隠れているが、もし本当に存在するものならば、それは外側の形の上に現れずにはおかない」

 

個人的には、現代アートも近代絵画なども好きですが、あらためて古い陶磁器の美しさに圧倒されました。16世紀の中国の盃や19世紀の朝鮮の器、17世紀の唐津焼の向付など、現代の芸術作品と比べても、全く古さを感じさせません。

 

「新しいものとは、古くならないものである」

と言ったのは、小津安二郎です。「新しい」とは、これまでにない斬新なものということではなく、いつ観ても常に観るものの心に新しい刺激や感動を与えるものだということなのでしょう。確かに小津作品や、溝口作品は今観ても全く古さを感じません。

 

そういう「新しさ」に触れることによって、心が浄化され、エネルギーをもらえる気がします。だから人間はいつの時代も、アートを追い求めるのだと思います。

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このページは、福澤が2009年4月 3日 15:22に書いたブログ記事です。

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