企業の人材開発で必ずあがるテーマが、コミュニケーション力です。職場でのコミュニケーション力が落ちている、若手社員のコミュニケーション力が低下しているなど、コミュニケーションの問題は、ほぼ全ての企業に共通するでしょう。
では、ここで問題となっているコミュニケーションとは、何を指すのでしょうか。2,3年前、KY(空気が読めない)という言葉が流行りました。流行るということは、「空気を読むことが重要だが、時にそれができない人がいる。それを、指摘し、読めるようにしてあげよう。」という共通認識があったのでしょう。
では、KYができる人はコミュニケーション力が低いのでしょうか。もちろん違いますね。コミュニケーション力の一部に、相手への配慮や感受性は含まれますが、それだけではもちろんダメです。
KYの優れている人はどこにいると思いますか?古い体質を残した大企業やオーナー企業の役員会に行くと、数多く観察できます。そこでは、グループシンクが蔓延っています。グループシンクとは、集団での同調性を重視するあまり、皆同じ意見に収束することです。和を乱さないことが最優先されるのです。(オーナー企業では、オーナーへの同調の形を取ります)
KYは、一方的に受け入れ同調するわけですから、片方向です。コミュニケーションとは、双方向のもののはずです。
「ダイアローグ 対話する組織」(中原淳/長岡健共著)によると、コミュニケーションは以下の二軸で整理できます。
ダイアローグ 対話する組織中原 淳

・「相互理解」を重視⇔「情報伝達」を重視
・「個人の主体性」を重視⇔「組織の結束力」を重視
KYやグループシンクは、「情報伝達」X「組織の結束力」ですね。今、どのコミュニケーションが問題なのか、を的確に認識した上で、人材開発の施策を考えるべきなのでしょう。
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