思考停止という言葉は、よく耳にします。では、どういう時に思考停止するのでしょうか。
以下の3パターンがあるのではと考えます。
1) 関心がないので、思考が進まない
2) 関心はあるのだが、とっつき易い結論や解決策をすぐみつけ、それ以上思考しなくなる
3) 予想もつかなかった状況に、途方にくれ思考が一時停止してしまう
関心がない場合とは、例えば経営会議などで、他部門に関する議論には参加しないといったケースです。あるいは製品開発部門の社員に、どれだけ顧客の声を聞かせてみても、反応がないというケースもあります。このパターンは、関心を持たせる仕組みを導入することにより、思考が進むようになることはよくあります。
予想もつかなかった事態に直面した場合は、多くの人間が思考停止するようです。95年の阪神大震災を経験した方に伺うと、よくそうおっしゃいます。一般には、仕方のないことでしょう。こういう事態においても、思考停止しないだけの能力を持った人が、首相や大企業のトップになるべきなのでしょう。
とっつきやすい結論に飛び付き、そこで思考停止するパターンは、結構厄介です。95年頃
、「MBAマネジメントブック」MBAマネジメント・ブック
という本を出版しました。簡単に言えば、ビジネススクールで教えている経営学のフレームワークをまとめた本です。企業研修でもテキストとして頻繁に使用しました。その頃、ある企業の研修の場で、講師がこの本を指してこう言いました。
「こういう本があるから、考えなくなるのだ。書いてあるフレームワークに当てはめただけで、考えた気になってしまう。こういう悪書を出すやつはけしからん」
教室後ろでオブザーブしていた私は、居づらい雰囲気になりましたが、言っていることは正しいと思ったことを覚えています。
人間は、結論が出ない状態を不快に感じ、嫌います。だから、思考するわけですが、不快から早く逃れるために、安易な解決策に走ってしまうのです。その場合、多くの場合その解決策は、世の中的には認められているので、罪悪感は抱きません。そこで、思考が停止するのです。状況だけ見れば、悪いことではないようにも見えます。でも、その安易な解決策は、普通正しくありませんし、本人もうすうすそれに気付いているのです。人間はそういうものです。
そこで、本当にそうか?と、疑問を持ち、思考を続ける「知的強靭さ」を持ちたいものだと思います。安易な結論を、いくらでも簡単に入手できる、便利な世の中になるにつれ、思考停止が広まっていくようで怖いです。
コメントする