取締役会のガバナンス

富士通にしろ、セイコーホールディングにしろ、取締役会の機能不全が露呈したトップ解任劇とその後のごたごたでした。社外取締役制度や委員会設置会社などの制度整備は行われてきました。それにも関わらず、機能不全は起こります。

 

日本企業の癖として、制度を制定すればやるべきことはやったと安心してしまう傾向があると思います。形式基準を重視する監督官庁への対応を続けてきた、長い歴史の所産なのでしょうか。

 

もちろん、適切な制度を導入することは好ましいことです。ただ、問題はそれで安心して、それ以上の中身の改善を追求しなくなってしまうことです。うがった見方をすれば、制度導入を隠れ蓑にして、既得権益を温存する意図もないのではないと思えてしまいます。

 

政府や省庁のなんとか諮問委員というのも同様かもしれません。民間知識人や文化人?のご意見を拝聴し政策立案に活かさせていただくとのオモテの意図の影で、先生方もそう答申されている(そうさせた?)ので、そうさせてもらうという官僚のウラの意図が透けて見えます。それに選ばれることを名誉と思い、喜び勇んで参加する知識人もいることでしょう。その相似形が、企業の取締役会でも行われているとしたら恐ろしいことです。

 

では、どうしたらいいのか。本当に取締役会を機能させたいのだとしたら、透明性を高めることでしょう。例えば、取締役会の議論を社員に公開するのです。議事録ではなくリアルに。もちろん、非公開とすべき案件もあるでしょう。その峻別は必要です。あまりいい譬えではありませんが、国会ですら公開されているのです。仕分けもそうでした。

 

 

公開することで、取締役が本当に取り締まっているのかが明確になります。そういう規律なしに、社外であろうと社内であろうと、チェックが働くとは思えないのです。

 

大事なことは、いかに取締役会を活性化させるかでしょう。どういう人をメンバーにするか、どうそれを決めるのかといった形式論は手段のはずです。手段が目的化しているように見えます。

 

 

「仏作って魂入れず」が、あらゆる所で跋扈しています。もう、その習性から脱却したいものです。

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このページは、福澤が2010年6月18日 10:15に書いたブログ記事です。

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