研修内製比率を高めるには

昨晩、私が講師を務めるスマートHRD養成講座(第三期)の第5回目セッションがありました。今回はライブケースと称して、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)人事部人材開発課岡田俊樹課長にお越しいただき、人材育成施策に関して講演いただきました。その後、2つの課題を提示、グループディスカッション後、全体ディスカッションを行いました。CTCは、環境変化スピードが非常に速い中、積極的かつ計画的に人材開発施策を設計し実施してきた優れた企業です。しかし、作りこんできたがゆえに生まれてくる課題もあります。とても興味深い講演とその後の議論でした。

 

ところで、議論の中で研修の内製化比率がテーマにあがりました。受講各社の内製化比率を問うたところ、5%から95%まで思った以上にばらつきが大きく驚きました。業界や規模、成熟度、そして研修の量も様々なのでばらつくのは当然ですが、ここまで大きいとは意外でした。費用対効果を考えれば一定比率で外部リソースを使うことはいいが、できるだけ内製化比率を高めることが望ましいとの意見が多かったです。その理由としては、現場の社員が教えることで自らも成長できるし、現場のニーズを反映できるからという意見や、社内に埋もれている暗黙知化されたナレッジを形式知化して、伝播あるいは継承することは内部でしかできないとの意見などが上がりました。

 

しかし、名選手必ずしも名監督ならずで、ナレッジを伝達できるようにパッケージ化しコミュニケーションするというプロセスは、ハイパフォーマーとはいえ容易ではありません。彼らが保有する素晴らしいナレッジを、受講者が受けとめやすいように翻訳、編集する専門家が必要です。その役割を担うのが、HRD担当者なのです。そうして初めて、内製を進めることができるのです。

 

ただ、そういう自覚を持っているHRD担当者は、まだそれほど多くはないようです。環境変化スピードが速まれば速まるほど、その機能が重要になってきます。HRD担当者に求められる役割や能力は、これからもどんどん変化していくのでしょう。

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このページは、福澤が2011年3月11日 11:07に書いたブログ記事です。

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