加藤唐九郎が語る戦略論

予期せぬところから探していたものが見つかったときほど、嬉しいものはありません。たまたま古本屋で手にした「やきもの談義」(加藤唐九郎、白洲正子 著 1976年)は、そんな本でした。やきもの談義
白洲 正子 加藤 唐九郎
4833131021

 

加藤唐九郎はもはや伝説的な陶芸家であり、彼と白洲の対談なので、面白そうだとは思いましたが、想像をはるかに超える面白さ。話題がものすごい勢いで広がり、しかもそれぞれが異様に深い。そういう対談です。

 

例えば、加藤が戦略論を語っています。なんと彼は、昭和9年に陸軍参謀部の委員として、「日本戦史」の改訂に関わっているのです。そこで、戦略を学び「それから僕はだいぶ変わっちゃった」そうなのです。

 

戦争というもの、軍隊というものと政治というものと、経済、政治、文化というものは皆同じものであると。それが結局ね、戦争というものは戦術によって勝ち負けが決まるものであると。しかしそれに応えていくように決定するものは、戦略であると。

 

戦術というのは兵器が変わるたびごとに変わる。戦略というものは永久に変わらないものである、政治、経済、文化であると。戦術は軍隊でやっていけるが、戦略とは一般庶民と繋がっていかなければ出来ないものであるというふうに書いておるんです。

 

加藤は、利休を重用したり、美濃を開拓したくさんの窯を開かせたり、楽市楽座を実施したりと、文化・済政策を整え全国統一事業を推し進めた信長を絶賛しています。陶芸家の発言とは思えません。

 

経営戦略でも同じです。「いい製品を作れば売れる」では、単なる戦術です。いい製品が生まれ続けるインフラを、簡単には揺らがないインフラを社内においても、社外においても構築することが戦略だと思います。あらゆるところに強さの基盤となる関係性を築いておくのです。強い企業は、そういうインフラを備えています。

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このページは、福澤が2010年10月11日 18:17に書いたブログ記事です。

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