リーダーが常識をつくる

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どんなに小さな組織であっても、リーダーに選ばれると世界が変わって見えるものです。収益責任、品質責任、育成責任など多くの責任を担うことになるからでしょうか?もちろんその要素も大きいですが、最近少し違った見方をするようになりました。

 リーダーとフォロワーの最大の違いは、その組織の「常識」を自らが形成するのか、それに従うかの違いだと思います。(ここでの「常識」とは、その組織内での「正しいこと」を指します。「メンタル・モデル」ともいえます)

 リーダーの行動や判断を基準にして、フォロワーは自らの常識を修正していきます。ミーティングにいつもリーダーが遅刻してくるとすれば、どんな理由があろうとも、その集団では「遅刻は許される」が常識になりますし、リーダーへの断りなしに他部門との連携を図ろうとしたことを咎められれば、「勝手に動くな。すべてリーダーを通すべし」が常識になります。フォロワーは、「自発的に動け!」というリーダーの明示的な言葉よりも、行動を常識の基準とするのです。そうして出来た常識が組織文化を形成し、結果として組織のパフォーマンスにも大きな影響を与えます。

 これはリーダーにとっては結構キツイ状況です(置かれている立場を認識していればですが)。多くの場合、本来の自分とは異なる行動を取る必要が出てくるからです。そのため、本当の自分とは異なる「仮面」をかぶることも必要になり、その仮面を通して世界を見ることを強いられます。だから世界の見え方も変わります。しかし、それがリーダーを成長させます。役職が人間を大きくするという言葉がありますが、それは仮面に実態を合わせていくプロセスのことなのだと思います。

 すぐれたリーダーは、形成すべき常識をいち早く理解し、それを促すような一貫した行動を取るようになります。進んで必要な仮面をかぶり、演じます。経営環境の変化が激しければ激しいほど、その能力が求められます。そういったリーダーの下で揉まれたフォロワーは、企業がこれから必要とする常識をつかみ取り、社内で重要な役割を担っていくことになるでしょう。

 

会社は社長の器以上には大きくならないといいますが、組織やチーム(当然フォロワーも)もそこのリーダーの器以上には大きくなりません。リーダーとはそれほど重い、しかしやりがいのある立場だと、あらためて認識する必要があると感じます。

 

 

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このページは、ブログ管理者が2010年10月 7日 18:57に書いたブログ記事です。

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